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127話


 ロディは抱き締めたはずのリリの体の分の空間を見詰めていた。


(リリ……。俺さ……本気でお前が好きだったんだぜ? ちゃんと伝わってたか? ずっと……一緒に居られるなんて思っちまってたんだよな……。バカだな……俺……)


 ガックリと首を垂れ何もない空間を見詰めていた。ふと見るとリリの要石が落ちていた。


 それを拾って握り締める。ほのかにリリの温もりが残っている気がした。


(リリ……)

「ロディ」


 ロディは声を掛けたリオを見る事が出来なかった。


「そのリリの要石を私に渡してもらえる?」

「え?」

「リリの記憶を共有したいの。それがあれば出来ると思うのよ」


 そう言ったリオは、透明感は多少あったものの、ほぼ人の姿になっていた。


(リリが……リリが消えたから……本物のリリが元の体に戻った……ってヤツか……)


 リリと瓜二つの姿をしていてもリリではない。唯一残されたリリが居た証を手渡してしまう事に躊躇した。


「これは……リリのだ……」

「分かっています。だけど、リリと記憶を共有しないと……ここまでリリが頑張っていてくれた事を私が引き継がなければ、リリのしてくれた事が無駄になってしまうの」


 キラリと光るアメジスト色の小さな石。リリの瞳と同じ色。


 リリが消える瞬間に微かに聞こえた言葉を思い出す。


『ロディ……。大好き……』


(リリ……。お前は確かにここに居たんだよな……。笑って、怒って、走って……戦って……。お前がここに居た事を無駄にしたら、お前絶対怒るよな……?)


 『あんたねぇっ‼ 私が頑張った事を無駄にするつもりっ⁉』


 『私の姿は消えてもロディと一緒に居るから。ロディと一緒に旅をするの。世界中をよ? まだまだ行ってない場所があると思うとワクワクするよね』


 リリの声が聞こえた気がした。


(分かった。俺、お前に怒られんのも嫌いじゃないけど、笑ってて欲しいんだよな)


 ロディは要石をリオに手渡した。リオは渡された要石を抱き締めた。


「ねぇ、ロディ。とりあえずハルシャギクに戻らない? 光神の里の人達の事も気になるし」


 リリが消え泣いていたのだろう。目を真っ赤にしたサラが言った。その声に振り向くと、竹富も里道も赤い目をしていた。


(俺だけじゃない……。みんなリリが好きだったんだよな……。ハチャメチャで突っ走って……他人の為に頑張れるリリが……さ)


 ステルフはみんなを背に乗せるとハルシャギクの街へと飛んだ。









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