124話
よろけた里長にロディが正面から斬り掛かり、サラの放った氷の塊が里長の顔面をとらえた。
「ウゴッ‼ 貴様……等……ごとき……下等な……虫けら……ごときが……」
里長の目がギラギラと怒りに燃えていた。
「そうやって人を見下してるから罰が当たんのよっ‼ 人の力量を計れないのよっ‼」
リリが里長の心臓を目掛けてケーキサーバーを突き立てた。
ケーキサーバーは里長の体に深々と突き刺さった。
「あ……が……が……」
「護衛の一人もつけないで居た事にアンタの人間性が出てんのよ。誰も信用しないから信用されない。自惚れてた事をあの世で後悔しなさい」
言い放ったリリの首に里長の両手が伸びた。
「偽物……の……お前も……道連れ……にして……」
ギリギリと最後の力を振り絞って締め付けられる。
「ウググ……っ‼ ふ……ふざけんなぁ〜っ‼ 私はねっ‼ 現世に戻ってっ‼ ダッツの期間限定食べるんだよっ‼ 楽しみにしてたんだからなぁっ‼」
「殺らせるかぁっ‼ 偽物の小娘ごときにっ‼」
首を締められながら、リリはもう一本のケーキサーバーを里長の首に突き刺した。
里長の口から大量の血液が吐き出された。リリはその血液を頭から浴びた。
「……こ……んな……や……」
背後からロディがザックリと斬り付けた。
「しつこいんだよっ‼ いい加減くたばりやがれっ‼ 諸悪の根源っ‼」
何かを言おうとした里長の体はゆっくりと畳の上に倒れた。
(第二形態とか……ないでしょうね……?)
リリがゴホゴホと咳き込みながら膝を着いた。
(この先、人の血液とかモンスターの体液とか頭から浴びるとかもないんだろうな……。浴びたくないよな。キモいし……)
竹富が皆に浄化の術を唱えてくれる。全員の体から里長の血液が消える。
里道が回復術を唱えてくれる。アチコチについていた傷が癒えていく。
(本当……良い仲間に出会えた……な。このゲーム、クソゲーだって思ってたけど意外と良くね?)
倒れた里長の体がゆっくりと光を放ち始める。そして、サラサラと砂が風に散るように消えて行った。
「終わった……な」
竹富が小さく呟く。
「これからが大変だけどな」
里道が竹富の顔を見て笑う。
「そうだな……。けど、やらなきゃならないし、やれるだろう」
二人は揃ってリリの方を見た。
(私が偽物のリリだって言われたのに期待すんなってぇの)
リリは苦笑いを浮かべた。