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119話


 深夜になろうと言う頃


(うわぁ……。見事に積もってる……)


 リリはカーテンを開けて外を見た。吹雪は止んだが、しっかりと雪は積もっていて、まさに白銀の世界となっていた。


(綺麗……。こんなの現世リアルでも見た事ない……)


 三階建ての宿屋の三階の一番豪華な特別室を里道とサラ。


 二階の東の端に竹富、中央にロディ、西の端にリリ。


(誰も居ない宿屋……。酒場も武器屋も誰も居ない……。私達が悪代官面クソオヤジを討ったら、この街はどうなるのかな……? 自然区にあれだけのモンスターが徘徊してたら、誰も寄り付きもしなくなるんだろうな……)


 ゲームだから家や店が朽ち果てる事はないだろう。だが、そうなると一瞬で住民が消えた街と言う感じになりホラー感が増す気がした。


(私も……消えるのよね……)


 手だけではなかった。足も消えそうになったり戻ったりを繰り返していた。


(私が消えて……リオが戻ってくれば、この世界はめでたしめでたし……。私は……消えたままになるか、元の生活に戻る……)


 現世リアルに戻りたいかと訊かれたら『戻りたい』と思っていた。ロディが居なければ……いや、ロディがやっていたゲームのままだったら『戻りたい』と答えていただろう。


(結局、私の恋愛運は『ない』んだよね。本当のゲームのロディとは違うロディを好きになったんだから……さ)


 リリはハゼランの気候をよく分かってはいない。どれだけ長持ちするかは分からないが窓の外にあるバルコニーに出て雪だるまを作った。


 誰も見ない。グラフィックとして定着するかも分からない。


(それでも、私がここに居た証……)


 リリは雪だるまの頭を撫でてから部屋に戻った。




 翌日、朝日にキラキラと輝く積雪に目を細めながら五人はそびえ立つ城に向かって歩き出した。


 誰もが最後の戦いになると分かっていた。


(絶対、あの悪代官面クソオヤジを叩きのめして、リオをこの世界に戻してみせる。竹富や里道が安心して暮らせるような光神の里にしてみせる)


 チラリとロディとサラを見る。


(サラは里道と幸せに暮らすよね。ロディは……私じゃない誰かと幸せになって欲しい……。試作品1と試作品2でロディがどうなったか分からないけど、きっと幸せになれる道があるはず)


 決して世界を動かすような自分ではなかったが、なぜか世界を動かしてしまっている自分を初めて誇らしく思った。







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