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118話


 中央広場に辿り着いた頃には、雪は吹雪いて来ていた。


「これは……外で火をおこしても消えそうね……」

「そうだな。体力持っていかれそうだな」


 ロディがマントを広げ、リリの体を包んでくれる。


「ありがと」

「ああ」


 ロディは黙って包まれているリリの体温を感じていた。そして、リリも。


(リリ、あったけぇ……。完璧に冷える前にどこかで休ませてやりたいよな……)

(ロディ……温かい……)


 ゲームだと言うのに温かさが感じられた。現世リアルだと恥ずかしい格好だが『ゲームの中ぐらい、こんなのも良いでしょっ‼』とリリは開き直り、ロディのマントの端を掴み雪を除ける。


「リリ。あそこに宿屋があるぞ。人は居ないだろうし、宿屋に避難しよう」


 竹富が吹雪いている中、宿屋のマークを見付けたようだ。


「そうね。宿屋ならベッドもあるだろし、休んで体力回復しよう」


 五人は竹富が見付けた宿屋へと向かった。中に入ると暖炉には火が入っていて温かかった。


「ホッとするわね……」


 サラが暖炉に近付き冷えた体を温める。サラは里道と寄り添っていたが、かなり冷えたのだろう。


 リリは暖炉の上にヤカンが置いてあるのに気付いた。シュンシュンと沸騰している音とお湯が沸いている湯気のグラフィックがある。


「温かい飲み物を用意するから、みんな暖炉の前に来て」


 リリが道具袋からカップと紅茶に似た茶葉を取り出した。


(疲れてるだろうし、ジャム入れようか……)


 カップを並べて紅茶を淹れた。甘い香りとホワホワと上がる湯気にホッとする。


 揃って紅茶を飲んでいると自然区でモンスターに襲われ、吹雪で冷えた体が癒やされて行く。


「目の前に悪代官面クソオヤジが居るのは分かってるけど、今日はゆっくりと休んで体力回復しよう。焦って挑んで何とかなるとは思えない」


 ゲームの鉄則。ラスボスに挑むには焦りは禁物。体力回復大事。


 そして、本当にゆっくり出来るのはここが最後……。


「俺も賛成だ。久し振りにゆっくり出来るチャンスだしな」


 竹富がニッコリと笑う。


「俺も賛成。サラを休ませてやりたい」

「私も里道を休ませてあげたい。私をおぶって走ってくれたんだし」


 二人のラブラブっぷりにロディが苦笑いを浮かべる。


(羨ましいよな。異民族でも、こんなに解り合えるんだ……。忍者と魔法使いなんて相容れないって感じって思ってたぞ)


 そして、チラリとリリを見た。リリもやっと落ち着いたらしく良い笑顔で里道とサラを見ていた。







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