116話
「さ……さすがにキツいな……」
「そ……そうね……」
ロディもサラもゼイゼイと息を切らしている。
木のてっぺんに登って休憩をとろうにも巨大モンスターは木より高いヤツもいるのだ。
「リリ……。これは、走り抜けるしかないぞ?」
「俺も……そう思う」
竹富と里道が汗を拭いながら言う。
「うん……。さすがに、これ以上はキツいよね……」
リリも息が整わないまま頷く。
(体力がある内に走らなきゃヤバいよね……)
リリはロディの方を向く。体力のあるロディも辛そうだった。両手を膝につき、ハァハァと言っている。
サラは里道の肩に手を置いて呼吸を整えようとしていた。
「竹富、ロディをおぶって。里道はサラを。一気に走り抜けるわよっ‼」
「え? おわっ‼」
有無を言わせず竹富はロディをおぶい、里道はサラをおぶって走り出した。
リリは殿で襲ってくるモンスターを攻撃しながら一気に内壁の門へと走る。
サラは器用におぶわれながらも魔法を撃ち出していた。
「安定しないから初級しか使えないけどっ‼」
「それでもっ‼ 助かるっ‼」
リリが討ちもらした小型モンスターがサラの魔法で消滅して行く。サラの撃ちもらした小型モンスターをリリがケーキサーバーで討って行く。
ロディは、その様子をおぶわれながら見ていた。
(何て連携だよ。うちのパーティーの女性陣は頼りになるなぁ〜)
竹富は、ガタイの良いロディを背負いながらも走り続ける。
(良い年して野郎におんぶされてる俺って……)
苦笑いを浮かべていると内壁の門が見えて来た。内壁の壁はさほど高くない。
「私が行くっ‼ 後ろ気を付けてっ‼」
リリが叫びながら内壁の壁の手前にある木を利用して壁の内側へ入った。
ゴゴゴ……
外壁の門と同じく鈍く重そうな音を立てながら門は少し開いた。全開にはしない。モンスターの侵入を許し戦う体力は残っていないかるだ。
「早くっ‼ 直ぐ閉めるからっ‼」
竹富と里道が走り込むとリリは門を閉め始めた。
「しつこいってぇのっ‼」
追い縋って来るモンスター達にサラが氷魔法を唱え、大きな氷の塊を撃ち出した。
ゴゴンっ‼
大きな氷の塊はモンスター達を吹っ飛ばした。
「サラ、サンキューっ‼」
竹富と里道は背負っていたロディとサラを下ろすとペタンと尻もちをついた。
「さ……さすがに疲れた……」
「人をおぶって全力疾走は初めてだ……」
二人は脱力し動けなかった。