11話
「何か……ゴメン。弱気になっちゃ駄目よね。うん。ちょっと愚痴ったらスッキリした。もう 大丈夫」
スックと立ち上がり二人に笑いかけた。
(とにかく光神の里ってトコに行く。それでどうにもならなかったら 、そん時は、また考えりゃ良い。グジグジ悩むな、私っ‼)
その時、畑があった方向から男性の叫び声が聞こえた。
(え? 何……? まさか……モンスター……とか?)
考えながらも、既に走り出していた。
竹富も里道も続く。
(あれは……何っ⁉ モスモスって猪もどきがいたけど色が違う……。んな事は、どうでも良いっ‼)
自然区では出没しないはずの大型のモンスターが畑にいて、農夫達に襲いかかっていた。
(あんなの外界にしか出なかったのにっ‼)
走り出したは良いが素手では太刀打ち出来ないのは明白だった。
(武器……。武器……。そう言えば太ももの所にベルトっぽいのがあったような……)
忍者服の裾に手を入れて太もも辺りに手をやると、持ち手らしき物に手が触れた。
(さっきレオと模擬戦をしてた時、私は両手に木製武器持ってたから……)
両手で持ち手を持つと素早く引き抜く。
(へ? 何かケーキサーバーみたいなんだけど……)
「やるっきゃっ‼ ないっ‼」
農夫と猪もどきの間に割って入りケーキサーバーを構える。
竹富と里道はクナイっぽいのを持っていた。
「早く逃げなさいっ‼」
リリが大声で叫ぶと農夫達は一目散に門に向かって駆け出した。
「里道っ‼ 他に猪もどきがいるかも知れないからオジサン達と一緒に行ってっ‼」
「承知っ‼」
里道は頷くと農夫達の周りを警戒しながら走って行く。
「リリ。一気に仕留めるぞ?」
竹富はそう言うと何やら術をかけたようで、リリと竹富の身体が淡いオレンジ色に輝いた。
(多分これは身体強化……)
ゲームでも同じようなエフェクトがあったのを思い出す。
(ゲームじゃ、このタイプのモンスターは美味しかったはずっ‼ ドングリもどきじゃ満足出来なかったから……)
「いっただきまぁ〜すっ‼」
モンスターと戦う掛け声とは思えない声を上げてリリは走り出した。
猪もどきは唸り声を上げて襲いかかって来る。
リリは猪もどきの目の前で飛び上がると、落下の勢いのまま猪もどきの頭頂部にケーキサーバーを突き立てた。