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107話


 もう一度、パノールとステルフに屋敷中を探索してもらい、危険がないと判断したリリは崩壊した部分と反対側の部屋で人質達を休ませる事にした。


 その夜、リリ達は井戸の傍で焚き火を囲んで作戦会議を始めた。


「要石がある大人なら転移装置で一瞬だけど、まだ持って居ない子供達に光神の里まで徒歩一週間歩けなんて言いたくない。それに大人を帯同してもらうにしても、ずっと閉じ込められてて体力も落ちてると思うの。かなりの行程になるわ。確かにモンスターは出なかったけど……」

「そう……だな」

「確かに……」


 リリの言葉に竹富と里道が頷く。リリにとってはNPCだが竹富や里道にとっては大切な同郷の子供達。大人が一緒であっても徒歩一週間はキツいだろう。


(要石があれば一瞬で……あれ? 要石ってどうやって手に入れる物? リオの記憶にあった……?)


 必死で記憶を探る。リオはなくしたから探してと言っていた。風呂に入った時、リリは要石をじっくりと見たが肌に貼り付いているような感じで引っ張っても取れなかった。


(どうやってリオは要石をなくしたの……?)


「ねぇ、光神の里って安全?」


 難しい顔をしたサラが呟く。


「え?」

「確かに壁もなくてモンスターも出ない感じだったけど不自然じゃない? 壁がなければモンスターは侵入して来る。けど、モンスターが居ないって事自体がおかしいでしょ?」


 リリはサラの言葉にハッとした。モンスターが居るはずが居ないのは不自然と言われ、竹富も里道も目を丸くして黙り込んだ。


「もしかして……光神の里に居れば安全で幸せだと信じ込まされていた……? 誰に……? あの悪代官面クソオヤジだとしたら……?」


 パチパチと焚き火の中で木が爆ぜる。


「こんな事を言って……何を言っているんだと思われるかも知れないが……。前の里長の顔が思い出せないんだ……」

「里道も……か?」

「竹富もか。おかしいんだ。確かに覚えていたはずなんだ。でも、紀高を助けに屋敷に侵入した後辺りから、前の里長や奥方の顔が思い出せないんだ」


 竹富も里道もリリがゲームの中で感じていたような違和感を経験して来ていたようだった。


(取れない要石をなくしたリオ……。どうしてなくしたの……? 竹富と里道は記憶が曖昧になった……。多分、試作品1と試作品2が混ざったから……よね?なら……こんな言い方はしたくないけど……仕方ない……のよね)


 設定や内容が変わっても、せめてここに居る仲間は変わらないで欲しい。リリは、そう願わずにはいられなかった。







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