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103話


「うん。ここは一人ずつしか行けないんだし、先頭はロディにお願いするね」


 リリが言うとロディは笑って頷いた。


(分け合っていけば良いんだ。辛い事も悲しい事も……)


 リリはチラリと里道とサラを見た。信頼し合って、恐らく里道の辛さを分け合って支え合ってる。


(羨ましいな……)




 井戸を下って底に着くと横穴があった。


(うん。よくある抜け穴っぽいな。モンスターの気配なし……。あの屋敷は王族の別荘……とか? それはないか……。別荘を持つなら南の気候の良い所にするだろうし。この辺の貴族の屋敷って所かな?)


 ゲームらしく壁には松明がともっていて、サクサクと屋敷の中庭に着いた。


「なぁ……。これどうやって外に出るんだ?」

「え? 飛び上がれば良いだけだけど?」


 ロディが井戸の底から上を指差していたのをリリがサラリと答え、竹富と里道が頷く。


「ちょっと待っててね。竹富、縄梯子ある?」


 竹富は道具袋から縄梯子を取り出すとリリに手渡そうとして

「俺が行く」

と、短く言った。


(あ……。またやっちゃったよぉ……)

「うん。竹富、お願いね」


 竹富は一度道具袋に縄梯子をしまうと、井戸の壁を左右交互に蹴りながら外に出た。


(マ○オの壁キックみたいだぁ〜。私、出来ないのよね、アレ)


 外に出た竹富が縄梯子を降ろしてくれる。何度か引っ張り振り返った。


「ロディから上がって。続いて、私、サラね。里道は殿しんがりをお願い」


 三人は頷くとロディから縄梯子を登った。登り切ったロディが声を上げた。


「テメェ……崎野ゴミクズのゾンビか?」

崎野ゴミクズのゾンビっ⁉)


 その声にリリが一気に縄梯子を登り切った。そこには、半分腐り崩れた崎野の成れの果てがユラユラと立っていた。周りには恐らくNPCのゾンビ。


「リリハ……オレ……ノヨメ……ダ…」


 地の底から響くような声に鳥肌が立つ。


「気持ち……悪いんだよっ‼」


 ロディが剣を振るうが、崎野のゾンビは斬られても斬られても向かって来た。竹富はロディの加勢をしたいように振り返りながらも、圧倒的な数のNPCゾンビに囲まれていた。


 リリがケーキサーバーを抜いて構えた時、木に括り付けていた縄をNPCゾンビが引き千切った。


(サラと里道がまだっ‼)

「里道っ‼ サラを守ってっ‼」


 リリの叫び声でロディと竹富が振り返る。


 リリが縄梯子に手を伸ばして止めようとするがズルズルと体ごと引きずられ井戸の端に後頭部と背中をぶつけた。






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