101話
「マジで大きいわね……。しかも怪しさ満載って感じ……」
リリは鉄柵に囲まれたバカでかい屋敷を眺めた。鉄柵の高さは、リリ達なら飛び越えられそうだったが、怪し気な赤い光を放つ魔法道具っぽい物が一メートル間隔で設置してあった。
(こんな人っ子一人居ない所でこの警備……。怪しいですよ〜って言ってるようなモンなんだけど……な)
警報装置はあるがカメラのような物はないようだった。何度か鉄柵の高さにジャンプをしてみたが何の反応もなかったからだ。
(まぁ、これだけの警報装置があればオッケーって事なんだろな……)
リリはどうした物かと悩む。正面突破しても良いが、この屋敷がどう言う物かが分からない。もし、人質が屋敷に閉じ込められていたら生命の危機に直結するかも知れないと思ったら迂闊に踏み込めない。
「キュルキュル〜」
「キュキュキュルキュル」
「パノール。ステルフ」
フワリと現れたパノールとステルフはいつも通り、パタパタと飛び回った後、リリの肩にとまった。
〘リリ。どんな所であっても我々なら忍び込めるのを忘れたか?〙
〘そうだよぉ〜〙
『そうね。二人にお願いしようかな』
〘うむ。少々、見て来る〙
〘待っててねぇ〜〙
パノールとステルフはぐんぐんと上昇し、屋敷の周りをパタパタと飛んでいた。
(忍び込めそうな場所あるのかな? なかったら……あの煙突……?)
パノールとステルフなら鉄柵にも触れず、屋敷の上にある煙突からでも潜入は出来る。
〘見て来たぞ〙
〘入れる場所あったよぉ〜〙
リリ達の居る場所からだと入れそうな場所は煙突ぐらいだったので、リリは少々心配になった。
『ねぇ……。煙突から入ったら二人は焦げない? 煙出てるけど』
〘誰が煙突から入ると言った〙
〘ほら、あそこに鐘があるでしょ〜? 横に扉のない出入り口があったから、そこから入れるよぉ〜〙
『あぁ……。ゴメン。下からだと鐘の場所見えないのよ』
グラフィックだと分かってても火がある所に大切な子達を行かせたくないと思っていたからホッとした。上を見上げると教会によくあるような鐘が吊られている。
〘では、あそこから入って調べて来る。状況はステルフから聞くがよい〙
『うん。気を付けてね、パノール』
パノールは、またパタパタと羽ばたいて上昇し、鐘のある辺りから屋敷に潜入した。
(ほんっと、頼りになる子達)
リリはステルフを撫でながら、パノールの潜入情報を待った。