第1章 何でこんな事になったのよぉ… 1話
カンッ!! カンッ‼ カンッ‼
鳴り響く何かを打ち付ける音が耳に届く。
(ん……? これ何の音……?)
ボンヤリと考える。
(何よぉ……。誰か何かしてるの……? 近所迷惑よ……。今、何時だと思って……あれ? 今、何時だっけ? てか 私 コンビニにアイス買いに行ったんじゃなかったっけ……?)
ゆるゆると目が覚めるような感覚がするが、何か違う気がしていた。
「やりますね。リリ。」
どこかで聞いたような声がする。
(誰……? 誰かいる……?『リリ』って……誰……?)
とろりとした蜂蜜の中にいるような感覚。
「これならどうですか?」
(えっとぉ……。コンビニの兄ちゃんこんな声だったっけ……?)
ゴスッ‼
何かが激しく当たる。
「ちょっ‼」
声が出た。
そして視界がはっきりした。
目の前に居たのは 金髪にマリンブルーの瞳の超イケメン。
(うおっ‼ レオっ⁉ レオーデだっ‼)
「さすが リリ。受け止めましたか。じゃあ、これならっ‼」
目の前の超絶イケメンが 木刀を下段に構える。
「まっ‼ まっ‼」
(待ってっ‼ ちょっと待ってっ‼ 何がおきてるのっ⁉ 何で私の目の前にレオがいるのっ⁉ レオはいつから コンビニの兄ちゃんになったのっ⁉ 何でコンビニの兄ちゃんになったレオが、私に向かって木刀振り回してんのっ⁉ 私、強盗でもしたっ⁉ いくら貧乏生活してても強盗なんてしないからっ!! アイスとポテチ買う程度のお金は持ってるからっ‼ バイトの給料入ったばっかで強盗なんてしないからぁ〜っ‼)
そして気付いた。自分の両手に木製ではあるが武器らしき物がある事に。
(ぶ……武器持ってるぅ〜⁉ ダメよっ!! 武器持ってたら言い訳出来ないっ!! てか待ってっ‼ 私は平和主義者よっ!! 暴力反対ぃ〜っ‼)
どう言う訳だか自分の意思とは関係なく武器を構えた。
(ちょっとっ‼ やめなさい、私っ‼ 何で武器構えてんのよっ⁉ 何でこんな事してんのよぉ〜っ!!)
次の瞬間、駈け出したイケメン剣士に凄い力で木刀を叩きつけられた。
「くっ!!」
短い声を上げ叩きつけられた木刀を両手の武器で受け止める。
(待ってぇ〜っ‼ 私はレオ推しなだけよっ‼ 確かにゲームはクソゲーって思ったけどっ!! レオは王子様よっ‼ 推しに木刀で攻撃されるのは『ご褒美』じゃないのよぉ〜っ!! そんな性癖はないからぁ〜っ‼)