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宿屋に来たよ!

 冒険者としてカードが発行されたので、待っていてくれたイングリッドさんと合流すると、再び街を移動開始する。


「シオン君達、今日は宿を取るのだよね?」


 リリアンさん達を送り届けて、冒険者カードの発行手続き等で既に夕方近くになっていて、またテントで野営するにも今度はサクラと見張りを交代して行わなければならない事を考えると、今日はこの街に宿を取る事に決める。


 街中の野宿でも強盗などのリスクは有ると思うしね。


「イングリッドさん、お勧めの宿屋はありますか?」

イングリッドさんは少し考えるように周囲を見渡している


「うーん、マーキュリー伯爵家から礼金が出れば良い宿を紹介できるのだけど、シオン君達はLV15だろ?金銭的な面もあるだろうから、それを考慮してもそれほど良い宿は無いのだよなぁ」


 LV15と言えば一人前になる前で最もお金の無い時期に当たるらしく、イングリッドさんもその辺を心配していたようだ。


「俺達と同ランク位の人達が使うような宿屋で大丈夫ですよ、ドロップしたお金が少しありますし」


 多少高くても夜に見張りをしながら一夜を明かすよりはよっぽど安全だと思うし。


「それじゃ知り合いの宿を紹介するよ、付いてきてくれ」

「お願いします」


・・・・


冒険者宿「大剣」

 レンガと木造が組み合わされた、言っては悪いが古びた宿だ。

 イングリッドさんの後を付いて、宿屋に入る。


「おう、イングか久しぶりだな、今日は何の用だ?」

 店番をしているのは店主である40代位の頭は角刈りに髭を生やした大柄でゴッツい男性だ。

 腕の太さや胸筋の凹凸が尋常ではなく、麻布のシャツの上からもそのゴッツさがわかる。腕や顔に付いた傷跡が歴戦の戦士だった事を容易に想像できるような人だ。


「この冒険者が宿を探しているのでお前の店を紹介に来たよ、世話になった人達だ安く泊めてやってくれよ」


「新人冒険者って訳でも無さそうだが、ずいぶん若い奴らだな、イングの紹介なら大丈夫だ」


 店主は俺達の様子を見ると料金やルールについて話し始めた


「宿代は一泊一人小銀貨五枚だ、夕食と朝飯が付くが飲み代や追加の料理は別料金だ、冒険者なら装備品を洗ったり手入れをするための水場が裏にあるから、それは自由に使ってくれ、知っていると思うが他の冒険者にはあまり干渉するなよ、トラブルは御免だからな気を付けてくれ」


 とりあえず一泊であることを話し前金払いで宿泊代金を支払う。


 宿が決まった事でイングリッドさんと今後の予定について相談すると、マーキュリー伯爵家からの招待状が届くまで4~5日ほど、そこから2~3日ほどはマーキュリー伯爵家の為に開けてもらいたいと言われたので、5日後に衛兵詰め所で集合する事となった。


 部屋の鍵を受け取ると二階の一室に行くように指示され、初めての異世界宿部屋の扉を開いた。


 室内は独特の匂いがしていて、博物館みたいに古い物が放つ物みたいなイメージ

 古びた木製のベッドが二つあり、木製のベッドには麻布のシーツが被せられ、同じく麻布の掛け毛布が置かれていた。


 小さな机と椅子があるので、ここで食事をする事も可能だ。


 換気の為に木窓を開けると、爽やかな風が流れ込んでくる。


「お兄ちゃん、窓から見る外の風景って違うね」

「そうだな、上から見ると街の様子も違うな」


 午後の日の明かりは日中から夕方へと優しい感じに変わり始め、街ゆく人々を照らす。その姿や街の景色を見ると”異世界”である事を再実感した。


「夕食まで少し時間があるよな、疲れたから一休みするよ」

「お兄ちゃん、キャリーカートを引いたり大変だったよね、私は外を眺めているから時間になったら起こしてあげるよ」

「ああ、頼むよ、ありがとう」


 俺は初めての事だらけなので何となく疲れたのかベッドに横になるとすぐに眠りに落ちた。



ーーーピピピピピッーーー

スマホのアラーム音が鳴る


「お兄ちゃん!そろそろご飯の時間みたいだよ!」

 サクラに起こされスマホの時計を見ると十七時を回っていて、いつもの夕飯よりは早いけど電気の無いこの世界では日の出、日の入りで大体一日が回っている。


 宿屋に併設された食堂に入ると既に大勢の人達でごった返していた。


「3番テーブルエールね!」

「あいよ!」


 給仕の女性達が忙しそうに食事や飲み物を運んでいるが、俺達に気が付くと元気な声でこちらに声をかけてくれた


「あんた達、泊まりのお客さんだね!好きな席に座って待っていてね!今食事を持っていくよ!」


 俺達兄妹は空いている席を探して着席する。

店の中は意外と明るく、天井に大きな照明器具と各テーブルにも不思議な照明器具が置かれている。

 電気とかではなく自ら発光しているようで、蝋燭の明かりよりは明るい程度の光を放っていた。


周囲に居る人達は冒険者と呼ばれる人達なのだろうか?この宿屋の宿泊者ではない人も居るようで、食堂は酒場としても営業している感じだ。


 体型が良い人も居れば、ローブ姿の魔法使いのような人もいる。

 男女比率は6対4位。


 女性の方が少ないが、過酷な職業の冒険者だとすれば女性の多さが目立つのはある意味凄い。

 日本だって職業自由とか言われているが、肉体労働系と事務職系等で男女で職業が住み分けされているような状況だ、俺は冒険者なんて男性の職業だと思っていたから余計にそんな印象が強いのだろう。


 時々毛むくじゃらな人や頭に耳が生えているような人が見られる。


 獣人なのかな?街の中では気が付かなかったが酒場だと装備が簡略化されているのでそんな人の姿も見えた。


「お客さん!お待ちどうさま!今日の夕食セット煮込み肉のシチューだよ!」


机の上にガシャンと乱暴に置かれた夕食セットだ。


「お客さん、この街は初めてかな?さっきから獣人族の事が気になっているみたいだけど、あまり見ない方がいいよ!あいつら凄く気性が荒いからね!」


 給仕のお姉さんから注意されたけど、獣人族が居るとはさすが異世界と思いながら、目の前の食事に手を付ける事にする。


ご一読いただきありがとうございます


面白そう!続きが読みたいと思いましたら

いいね、ブクマ、評価よろしくお願いいたします!!



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