冒険者組合に来たぞ!
イングリッドさんに連れられて冒険者組合に到着した。
冒険者組合は役場のような石作りの建物で、大きな掲示板や受付カウンターが複数並び今の時間は冒険者組合としては一仕事終わり閑散としている。
役場と大きく違うのは酒場が併設されていて今風で言えばセミセルフのフードコートのように見え、冒険者らしき男達が仕事を終え酒を飲んでいる姿も確認できる。
そんな男達を横目で見ながら、イングリッドさんの後を付いていく。
リリアンさん達が俺達の事を冒険者だと思ってくれた関係で、冒険者カードを無くし冒険者として再登録みたいな流れになっている。
冒険者カードが無いと街の出入りとかで困るらしいので仕方なく登録だ。
身分証明書が無い未登録者は、最悪の場合盗賊や犯罪者と同じ扱いになるので街に入る度に細かく調べられて面倒になるみたい。
今回はリリアンさん達との同行だったのでスルーパスだった経緯がある。
イングリッドさんが冒険者組合の受付に行くとカード再発行手続を行うための、冒険者組合担当者のお姉さんと交代となった。
「いらっしゃいませ、イングリッドさんのご紹介ですね、担当をいたしますセレナと申します、よろしくお願いいたします」
担当してくれるセレナさんは身長は150cm位でふっくらとした小柄な感じ、真っ白の肌に茶髪セミロングの髪を束ねた可愛い感じの女性だ。
軽く挨拶を交わすと、早速冒険者組合の業務手続きが始まる。
「冒険者カードの再発行と伺いましたが、紛失前のレベルは解りますか?」
何と言えば良いのかわからず言葉に詰まっているとサクラが横から言う
「わからないよ!」
「そうですよね、冒険者の方は一般の方と違って魔獣と戦う事が多いですから、レベルアップする機会も多いですし」
と、そんな物らしい。
「まずはこちらの用紙に名前と紛失前のレベルとランクを記入して下さい、ランクが解らない場合はレベルに応じて平均的なランクを再発行しますので、紛失ペナルティとして改めてご了承下さい」
さて、問題発生。
この世界の文字なんか知らない。
目の前におかれている用紙の文字は見た事が無いけど英字を改造したような文字で何とか読めない事も無いがNAMEとかLEVELとか書いてあるような感じがする。
「えっと、代筆しましょうか?文字が書けない方も多いので恥ずかしがる事はありませんよ」
登録用紙の文字の並び方から推測して英数字でも何とか行けそうと思いそれっぽく書いてセレナさんに渡す
「えっと、シオンさん?にサクラさん?って読むのかな…変わった文字の書き方をされますね…レベルはたぶん十五に見えるかな…ランクは不明と」
「お兄ちゃんの文字読めた?汚いでしょ!私も読むの大変なの!」
「いいえ、達筆ですね…」
サクラのコメントに苦笑いをするセレナさん
そんな汚い文字を書いたか?多分、普通に読めるよ!
まぁ字が汚い人なんて自分ではそんな事は全然思っていない事が多いから、俺も上司の手書きメモが全然読めなくて苦労した事を思い出す。
ただ、サクラの横槍もあったが文字が書けないではなく、解読が困難で汚いレベルであるが、不思議とこちらでも文字が書けて通じる事が判明する。
でも日本では文字はマジで汚く無いよ。
仕事で手書きの書類書きなら代筆頼まれる位の読める文字は書けるから!
「ではレベルの確認を行います。こちらの石版の上に手を乗せて下さい」
目の前に手の形が掘られた真っ黒い石版が用意され、俺とサクラは石版に手を載せると石版が弱い光を放ち、立体映像のように空中に文字が表示される。
異世界ファンタジーの初体験スゲェ。
「確かにLV15ですね確認致しました、ランクはFからスタートとなりますので再発行ペナルティとしてご了承下さい」
さらっと事務的に処理をしているセレナさんに気になっているレベルについて聞いてみる事にした。
「この辺の魔獣は難度どの程度ですかね」
「そうですね…」
セレナさんがそれとなく説明を始めてくれた。
冒険者ランクは S・A~GでSは英雄クラス、A~Gでランク分けされGランクが初心者冒険者でありLV10がこのあたり。
一般的な村人が成人するとLV10になるのが普通で、ここまでは勉強や鍛錬をすれば良いとの事、LV10から専門的な分野に入り、そのまま農民になったり商人になったり、冒険者の道を選んだりして専門職を選択し、LV20で一人前と呼ばれる。
前置きとしてランクとレベルの話が終った所で、近辺の魔獣を討伐する為の冒険者レベルの話が始まる
「この周辺だとLV10~25前後の魔獣が多いですが、森の中は魔獣も強いので気を付けて下さい」
「ドゥームグローブも?」
この質問はセレナさんが血相を変えて警告した
「あそこは駄目です!LV15なんかで入ったら生きて帰れませんよ!とくに女性のサクラさんはゴブリン達に滅茶苦茶にされちゃいますからね!!」
とてもドゥームグローブから来たとは言えないな。
「ところでSランクの人ってLVどのくらいなのですかね?」
「シオンさんも男性だから英雄にも憧れますよね。色々な人が噂で彼らのレベルを調べたり推測したりしていますけど、ハッキリしていないところが魅力的ですからね」
セレナさんも英雄物語が好きみたいで色々話し始めて、それに関わる情報も惜しみなく教えてくれた。
詳しくおさらいするとこんな感じ
Sランク冒険者
推定レベル50以上で人知を超えた実力者で偉業を達成、伝説級や英雄と呼ばれる。
ただし、レベルと冒険者ランクは関係無いのでSランクと呼ばれる人達はLVだけでは判断されず、大きな偉業を達成しなければならない。
新人がLV10
一人前でLV20
経験者がLV30以上
熟練者がLV40以上
英雄がLV50以上と職業により上下する事はあっても、セレナさんの経験上冒険者達のLV分布はこのような感じとなる
実際はLV40クラスになると国の特殊兵士や衛兵隊長とか才能のある一握りの人達になるようだ。
俺達兄妹はその事実を知り胸をなで下ろす。
ステータス画面によると俺はLV55、サクラはLV62まで上げられる事になっているので、既に英雄クラスと同じレベルだ。
知らずにLVアップしていたら今頃大変な事になっていたな。
「シオンさん達も詳しいステータスが知りたい場合は、あちらにいるステータス鑑定士に依頼して下さい。有料でステータスを教えてくれますよ」
セレナさんから声をかけられると新しい冒険者カードが発行され、鉄で出来たクレジットカードサイズのカードが手渡された。
晴れて俺達兄妹は冒険者としての登録が完了した。
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