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犬だよ犬

さて二人を連れてキャリーカートで帰るのもチョット抵抗があるなと、俺は彼女の姿を眺めている。


 エリカさんはメイド服でもヒラヒラとした上等な服装だし、リリアンさんはモロにパーティドレスみたいな豪華な服装だからだ。

詰めればキャリーカートに四人乗る事が出来るけど、ご令嬢と一緒に乗るのも抵抗あるし二人の態度を見るとたぶん彼女達も嫌だろう。


自宅まで歩いて帰るのも距離があって今からでは夜になってしまう。

さてどうしようと考えていると


「リリアンさん、私たちの家族を紹介するね!」

女子同士ですでに意気投合するかのようにさっきから会話をしているサクラが、森の中で警戒待機中のラスターとウインクを呼び出したのだ。


『ウォン!』

中型の馬並の大きさがあるラスターとウインクがご令嬢達の前に突然スッと現れたのだ。


「「ギャァァァッァア!!!」」


断末魔のようなエリカさんとリリアン様の悲鳴。

悲鳴の後にエリカさんの後でパタンと音がするとリリアンさんは既に倒れていた。


「大丈夫だよ、この子はラスター、こっちの子はウインクだよ!可愛いでしょ!」

サクラは二匹の頭を撫でながら、頬ずりをすると二匹とも尻尾を振って喜んでいる


「そっそれって!ブ、()()()()()()()ですよね!!?」

「犬だよ犬、気にしないで大丈夫だよ!」


サクラはブラックウルフとは思っていない、ステータス欄には()()()()()()()()と書かれているが細かい事は気にしない。

大事な家族としての認識から親しみやすく犬となっている。


「そんな大きい魔獣が犬の訳がないでしょう!」


 半狂乱状態で激しく突っ込みを入れてくるエリカさんだが、この状況で説明するのも面倒だなと。

 俺はエリカさんの後で気絶してぶっ倒れているリリアン様の方が気になったからエリカさんにリリアン様の事を伝える


「キャァァ!リリアン様!お気を確かに!!」

エリカさんはリリアン様を抱きかかえ彼女の介抱に専念していた。


エリカさんがリリアン様の介抱をしている間にラスターが馬車を引けたら何とかなるかもしれないと思った。


「ところでラスター、この馬車引っ張れるか?」

『ウォン!!』

ラスターは首を縦に振って肯定の意を表す。

結構重そうな豪華な馬車で狼が馬車を引けるのか心配だが、魔獣だから大丈夫なのかな。

馬車とラスターを接続し、ウインクにはキャリーカートを接続する。

あとは気絶したリリアン様とエリカさんを馬車に乗せて出発だ。


馬車の操作なんかできるのか心配だったけど、ラスターが引っ張ってくれるから特に操作する必要なんか無かった。

言葉で通じるし今は適切な速度で移動をしている。


 重くてきちんと引っ張れるのか心配だった馬車もラスターは何の抵抗なく軽々と引っ張っていき、しばらく移動が続くと緊張していたエリカさんは馬車の中で眠ってしまった。


時々野良のように現れるゴブリンやオークは馬車を先導しているサクラが狙撃して簡単に仕留めていてレベルが上がった事で筋力・視力も向上しているので手慣れた物だ。


リリアン様も馬車が俺の家に着く頃には目を覚まし、ラスターとウインクを見ると倒れそうになるが、エリカさんが必死に説明をすることで何とか落ち着きを取り戻し、今は平常になっている。


こんな調子で夕方には無事に自宅へと到着する事ができたのだ。



「えっと…ここが貴方たちの拠点なのですか?」


珍しい物を見るようにエリカさんとリリアン様が俺達の家を見ていた。

「まぁ狭い所ですが気にせずどうぞ」


俺達の住んでいる家は旧母屋であり部屋数は五部屋にキッチン・風呂・トイレが付いた昭和の頃の木造建築だ。


築五十~六十年位は経っているので見る限りボロい。


二階の二部屋は俺・サクラの部屋となっていたが、この世界に来てからは使っていない。

一階の一部屋は両親の寝室だった事もあり今は使われておらず、俺達兄妹は一階部分の二部屋を使って生活をしていた。


「木造の家ですか、かなり変わった建物に見えますが、ずっとここに有った建物なのでしょうか?」


まぁ森が平和な頃だって森の中に家があれば驚くよな


「森の中の拠点として移築した物と聞いています、詳しい事はわからないです」

「そうですね、冒険者のお仲間さん同士で使う物でしたら移築の経緯まではわからないですよね」


中々家に入らない二人を見てサクラは彼女達に声をかける

「さぁ立ち話をしていても仕方ないから!二人とも家に入って!!」


「こんな庶民の家に入るなんて初めてだわ」とか「心配しなくても大丈夫です」とか二人の会話が聞こえてくるが聞かない事にしよう。


外国人あるあるで、玄関で靴を脱がないとか普通にやられそうになったから履き物はここで脱いで上がって下さいと説明をすると彼女達もその話を理解し靴を脱いで家の中に入っていく。


彼女達の使う部屋は俺達の両親が使っていた部屋で古いベッドや寝具類はそのまま置いてあるのでそのまま使う事が出来る。

掃除はしていないのでこの辺はメイドのエリカさんが何とかしてくれるだろう。


続けてトイレや水道の説明。

トイレは水洗だから彼女達も驚いていたよ。

水洗トイレなんて普通は水が豊富な地域で貴族や金持ちの物なんだとか。

マーキュリー伯爵家にも有るので使い方の説明をしたら問題無く使えるようだ。


でもウォシュレットについては説明しない。

トイレットペーパーだけで感動していたからね。

こんな柔らかい紙は見た事が無いとか騒いでいたよ。


俺は逆にこの世界に水洗トイレがある事に驚いた、仕組みや水洗方法は異なるみたいだけど金さえあれば何でも出来るのかよと。


あとは水道。

マーキュリー伯爵家の厨房等には常設されていて、蛇口をひねれば水が出るって仕組みじゃなくて、湧き水を水路を使って流しっぱなしにする方式の物が設置されているのだとか。

日本の観光地にも湧き水スポットには塩ビパイプで湧き水を分岐させて沢山の人が利用できるようになっている場所があるから、それと同じような物なんだろうと。


こんな森の中で豊富に水が使える事に驚いていた二人だった。


ご一読いただきありがとうございます


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