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8/8

幼馴染様改め、

 なんだかんだ婚約パーティも無事に終わり早一年。



「婚約パーティが終わったら次は結婚式ね!」と、張り切りまくるお義母様と共に花嫁修行やったり、結婚式の準備したり、「突撃婚約者の職場!!〜お兄さんの尻危機一髪〜」なんかがあったり、と。

 なかなかに怒涛の一年だった。



 そんな一年が過ぎ、今日は待ちに待った結婚式。



 わたしだって一応これでも女だ。結婚式には憧れがあった。

 綺麗な純白のドレスを着て、好きな人と夫婦になる誓いを立てる。

 まあ曲がりなりにも貴族の娘だから、好きあった人と結婚するのは難しいかななんて。ちょっと諦めてはいたけど。



「準備はいいかいイリス」

「うん、大丈夫」



 父さんの腕に手を添えて、ゆっくりと真っ赤なカーペットの上を歩く。



 二度、姉たちがこうして歩く様を憧れを抱きながら見送った。

 いつかわたしも二人のように、真っ白なドレスを着て歩きたいなと。

 歩む先にいるのが大好きな人であれば百点満点なんて。そんな夢想をしながら。



 リィゴン、と教会の鐘が鳴る。

 花嫁と花婿、そしてこの場にいる者たちに祝福を与えんと言わんばかりに。澄んだ音を響き渡らせる。



 神父の前に立つエリオットがわたしの方へと手を差し出てきた。

 父さんの腕から手を離し、差し出された手を取って二人並んで神父の前に立つ。



「新たな夫婦に精霊たちからの祝福を。貴方たちが互いを思い遣り、愛し合う限り、精霊たちの祝福は途切れることはなく、この先貴方たちの道は幸いに溢れるでしょう。さあ、誓いの口付けを」



 神父の言葉が終わると同時に向き合えば、何故だか泣きそうな顔をしたエリオットと目があった。



「なんで泣きそうになってるの?」

「な、なんか、感極まって。ごめん」

「……ま、それだけ喜んでくれてるならわたしも嬉しいや。これから先のわたしの人生、全部エリオットにあげる。だから、エリオットのこの先の人生全部わたしにちょうだいな」

「それ俺が言うべき台詞じゃん。……あげるよ、全部。だからイリスのこれからの人生は全部俺が貰う。嫌がろうが泣こうが喚こうが、絶対に逃さないからな」

「相変わらず愛が重いなぁ」

「相変わらず愛が重いです」



 笑って、どちらからともなく口付ける。



 この先楽しいことや嬉しいことがあるだけ、しんどいことや辛いこと。苦しいこともたくさん経験するだろう。

 けれど、それでもきっと彼と一緒に過ごせば、いつか振り返ってみれば素晴らしい日々であったと笑えるだろう。



 それだけわたしはエリオットのことが好きで、特別で、月並みの言葉しか言えないけれど愛してる。

 きっとそれはエリオットも同じこと。



 なによりも大切な人。命を賭けたって全然惜しくはない人。

 我ながら愛が重いなぁって思う。まあ、エリオットの方もわたしと同じくらい愛が重いけどね。



「愛してる。死ぬ時も一緒に死んでくれよイリス」

「わたしも愛してるよ、エリオット。死ぬ時は一緒にね」



 死がふたりを分つまで。

 いいや、死がふたりを分かちても。

 わたしはきっとエリオットを、たぶん出会ってからずっと恋し続けていた君を心から愛し続けるよ。



 これから先もずっと一緒にいてね、わたしの旦那さま。

少し駆け足ですが、これにて完結。

ありがとうございました。

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