0.0 プロローグ ~リセットボタンが見つからないって思ってたら、勝手にリセットされてた件~
簡易版プロローグです。
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↑本編はこちらです。
リセットしたい。
そんな風に考えたことはないだろうか?
いわゆるRPG世代だったオレは、何か嫌な事があるたびに、そう思っていた。
ゲームでは何度もお世話になった、あのボタン。
現実の嫌なことが、なかったことに出来たら……
やり直して、上手いこといったら……
普通の幸せってやつも、味わえるのかなって。
だって、平均年5回も事故に遭ったり……
3回も騙されて、無一文どころか借金まで背負わされたり……
家族はどんどん死んじゃうし……
だいぶひどくないか?!
おかげでぼっちを極めたけどさ!
でもよ、オレだって味わってみたいんだよ! 普通の幸せってやつをな!
だから……リセットしたかったんだ。
この"ろくでもない39年の人生"を。
きっと、どこかバグってるから。
でも、リセットボタンは見つからなかった。
そして――そのまま、エンディングだ。
享年39歳。
不幸続きな人生も、やっと終わってくれたみたいだった。
まぁ、これでよかったかもな!
お疲れ様でした! お先に失礼いたしまーす!
ようやく終わってくれたぜ! この苦痛!
さらばだ!
――そう思っていた時期が、オレにもありました。
**
――あの時。
くだらない39年間の最期に……どうやら子供を助けて死んだらしいオレは、そうとも知らず謎の空間にいた。
魂だけの状態になってたオレが、見渡す限りの白い空間で出会った美女は、創造の女神ソールフレイヤだった。
……まぁ、この目の前の超絶美女だな。
「あなたは、レイリィ・セトリィアス・ミデニスティースという名前になりました。」
「……はい?」
「レイリィ・セトリィアス・ミデニスティースです」
「……なんて?」
「レイリィ・セトリィアス・ミデニスティースです」
「……え? 長くないすか……?」
お、覚えれるか……? これ。
「あなたの希望を叶えようとしたら、こうなりました。」
「……希望?」
希望だと……? オレにはもう、夢も希望もないぞ……?
「はい。リセット、したいんですよね?
私が、あなたの神族としての身体と能力を、新たに創造しました。」
え~っと……?
いや……リセットしたいとは言ったけど……こうじゃないだろ?!
オレがいっつも思ってたのは、タイムリープ的な意味なんだよ! なかったことにしたい的な!
誰も別人になんて……んん?! 神族? 神?!
……はぁぁぁぁ?!
え……別人どころか、別神ってか?!
人生リセットってか、神生始まったってか?!
いやいやいや……
聞いてないぞ?!
何してくれんだ?! この金髪碧眼超絶美女め!
何をそんなにニコニコしてんのよ?! むぅ……
……はぁ〜。
内心ではため息しか出ない。くそデカい奴だ。
つってもまぁ、なってしまったものは仕方ないかぁ。もうどうしようもないんだろし。
創造の女神は、なんというか……説明が雑だった。
他にも一応色々話してはくれたんだが……
たとえば……死んだ直後、オレは神々と地球の話を聞いたんだ。
人間の魂は神々の餌になる的な話だ。
経験をたくさん積ませる方が魂の質が上がるとかで、人間たちの寿命を延ばす……となったらしく。自分の運を削って他人の運を増幅させる"増幅者"ってシステムを創った、とか。
で、実はオレ、その増幅者ってやつだったらしく……
増幅者は、本当はリサイクルされるらしいんだが、今回のオレは面白く仕上がったとかなんとかで、転生させると決めたらしいんだ。創造の女神が。
そんなわけで、神々の家畜管理業務は晴れて卒業となり。
創り変えるって言われて、なんか眠いなぁ〜と、思ってた間に……神の住む世界ネイドスとかいう星に連れてこられてたみたいで……
で、今日……起きたわけだ。
知らん間に10歳だったし、中々びっくりである。
オレは酒が苦手だったからな。起きたら隣に知らない誰かがいる! とか経験ないんだよ。
なんだよ、起きたら別世界で神様になってたってさ。意味わからんが過ぎるなー。
まぁ、オレが10年寝てた話は、ミエリッキとかいう光る玉が教えてくれたんだがな。この女神ではないんだ。
そんで今は、スマホ一台もらって、好きに生きろと言われたとこだ。
んー。ちょっと情報過多だぞ。
むぅ。少し、話を整理しよう。
オレは、元日本人……という記憶はあるが、元の名前と姿形の記憶はなくした、アズ神族ニルヴァ10歳の幼神、レイリィ・セトリィアス・ミデニスティース君。
神能"リセット"の能力を持ってる、と。性転換も可能らしい。……何に使うんだか。
今はとりあえず鏡が無いんで、姿形は保留だな。
で、ここが、神々の住まう星、ネイドスってわけね。
まぁ、今は白い石造りらしき神殿の中って感じだが。
明るさも気温もやたらと過ごしやすい感じで、神様の世界ってのも納得感はある。
んで、この袋の中身が神食ね。これ食ってれば神は死なない、と。便利な身体なんだかなんなんだか……。
あと、このiPhoneぽいのは神スマホ……とでも呼ぶか。
んで、目の前の女神様は、創造の女神ソールフレイヤ。我が母神様。金髪碧眼の超絶美女で、美巨乳だな。
えーっと? あとなんだっけ。
ネイドスにはたくさんの種族が暮らしてて……
神族、竜族、巨人族、獣族、エルフ、妖精、人族……
だっけ?
よし。とりあえず現状は把握した。
わけわからん。ということがわかったな。
なんだそれ。無知の知かよ。ソクラテスじゃねーぞ。ミデニスティースだぞ。
まぁいいや。実地で知れってスタイルなんだろ。研修とは名ばかりのブラック企業みたいね。
はいはい。慣れてますよっと。
さーてと。
とはいえ何しよっかなー。
別に転生とかいらなかったんだがなぁー。
つーか、この神殿みたいな建物の外はどうなってんだろな。
んー。本当に不幸体質治ってんなら、小さな幸せってやつを見つけにでも行くか?
うん。それがいいかもな。今生こそ、平和で平凡な平穏ライフを手に入れよう。
それだ!
「で、オレ、本当に好きに生きればいいんです?」
「はい。そうですね。……あ」
あ……ってなんだよ。なんかあんの?
「少し、獣族の様子を見てきてもらえますか?」
獣族……? どんなのだろ? 動物的な何か? まさか、もふもふか?
「獣族は、多様性に富む種族ですが、そのせいか諍いが多いのです。なにやら近頃不穏な気がしますので」
多様性ねぇ……。
地球でいう所の、哺乳類全体みたいな事かな?
不穏とか、不安でしかないんだが。オレは平穏が欲しいんだが?
「あなたの能力なら、上手く争いも止められるでしょう。それに、いい出会いもあるでしょうから。」
……いい出会いねぇ。
なんだよ? いい出会いってさ。嫁はいらんぞ? 騙すからな、奴らは。
うーん。
獣の星……
いい出会い……
もふもふかなぁ?
だったらまぁ、アリといえばアリだなぁ。
それに、完全フリーシナリオよりは、スタートくらい指標があった方がやり易いよな。
争いを止めるってのは、ちょっとめんどくさそうだけどさ……。
「では、送りますね。帰りは連絡ください。」
女神はとてもいい笑顔だった……ように思う。
送る? え? いや、オレまだ返事してなくない?
――と、疑問を抱いた瞬間――空に居た。
「おいいぃぃぃぃ! マジかぁあぁぁぁぁぁ!」
転生早々なんだこれ!?
扱い雑過ぎんだろーよ!!
神族の常識ってどーなってんだ?!
地面的なものが見えない位置からの、ノーパラシュートダイブ! 暇を持て余した神々の遊びってか?!
地面はどーこだ?? じゃねぇんだわ!! ふざけんな!!
待ち合わせカップルのノリでやっていいことじゃねぇだろ!!
めちゃくちゃ引っ張られとるわ! あっつ! 火ぃ噴きそう!
てか、この世界にも、空気も重力もあるんだねー。へー。
はぁ~……。さっそく死亡確定キタコレ?
まぁ……好きで転生したわけでもないし。
来世のレイリィ? に乞うご期待ということで……
それではまた……ごきげんよう……
ありがとうございました!今回はいかがでしたか?
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