チーム 003
「えっと、サナ……調子どう?」
昨日の倉庫での一件があった後、意識を失った彼女をレザール郊外の医療施設に連れて行ったが……そこから二人で話してはいない。
だから、魔術師組の面々がどうなったのか彼女は知らないだろうとレグは思っていたが、実際はサナの意識はすぐに回復しており、何となく察しは付いていた。
レグが、あの三人組を倒したのだと。
そしてそれは、彼が呪いの子だから。
「……」
「……えっと、大丈夫? もしどこか痛むようなら……」
「レグ‼」
「は、はいっ⁉」
急に大声を出したサナに驚き、レグは姿勢を正す。
彼女は俯きながら、呼吸を整えた。
――元々、私は彼とチームを組みたいと思っていた。レグとなら、強くなれる気がするから。
それは、シルバが感じたのと似たような感覚。
強力な魔具を使わず、剣の修行に励んでいたレグのひたむきさに……サナはある種の尊敬の念を抱いていたのだ。
――でも……呪いの子? それって、この世界で生きてちゃいけないってことじゃない。
彼女はもちろん、呪いの子がどう処分されるべきかを知っている。
今すぐにでも誰かに報告し、然るべき機関にレグを突き出すのが正しいことだと――知っている。
――……「正しいこと」って、何?
レグは友達だ。
少なくとも自分はそう考えていた。
――友達を殺すのが、「正しいこと」なの?
魔術師たちに腕を凍らされ、反撃の余地なく蹂躙されるはずだったところを……レグは助けてくれた。
――自分を守ってくれた人を裏切る「正しさ」なら……。
サナは顔を上げる。
その赤い瞳で、レグを見据える。
――そんな「正しさ」なら、いらない!
彼女は勢いよく右手を前に差し出した。
「レグ、私とチームを組んで。一緒に戦いましょう」
その提案を、断る理由などない。
レグは再び、手を握る。
友の手を。
「よろしく、サナ」
「ええ、これからもっと……って、いたいいたいいたい、痛いわよ!」
「あ、ごめん」
未だ他人の手を握ることに慣れないレグは、つい力を込め過ぎてしまう。
それはきっと、彼の心の高揚の所為でもあるのだろうが。
「全く……で、レグはシルバともチームを組むわけ?」
「ああ? 何か文句でもあんのか、サナ」
「あるわよ。あなた荒っぽいし、野蛮じゃない」
「お前だって似たようなもんだろうが」
「少なくともあなたよりマシだと思うけど」
「てめーこら、喧嘩なら買うぞ……って、ああ?」
サナはシルバに向け、右手を差し出す。
「……どういう風の吹き回しだ? 熱でもあんのか?」
「別に……同じチームになるなら、ちょっと気に入らなくても、仲間でしょ」
先刻、シルバも同じようなことを言っていた。
案外二人は似た者同士なのかもしれないと、レグは思う。
「……けっ」
シルバは彼女と目を合わさなかったが……しっかりと、その手を握り返した。
「じゃあ、これで三人ね。あと二人だけど……」
サナは教室を見回す。
後方では未だにスカーの周りに人だかりが絶えず、チーム決めは難航しているようだ。
「……なあ、二人とも」
静かだったレグが口を開いた。
その目は、何かを確信したような――強い意志を持っている。
「どうしたの? 誰か候補でもいる?」
サナの問いに――彼は深呼吸をして答える。
自分の決意を。
「俺は――エルマとチームを組みたい」




