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新たな生  作者: 岡山
1/1

俺の旅日記

ウッ、眩しい。


後、痛い。


……寒い…五月蝿い………眠い……最悪だ………


「…功ですかね?これ」

「俺に…なよ。先生呼んで…、報告だ。」

「はい、見張…お願い…す。」

「了…、行ってこい。」


何を…喋ってる?上手く聞き取れ…ない。

というか…誰だ?


「にしてもこんなガキがほんとにアレと?」


あ……聞こえる。ちゃんと聞こえる。

耳が慣れてなかっただけか。


「こんなのに頼らんといかんとは、何が……。いや今はいいか。」


聞こえてはいるけど何を言ってるのかさっぱりだ……

なにか…伝えられれば…


「ヒューヒューヒュー」

「!?」


目の前の男から驚愕の声が漏れでた。

男は俺の方を凝視する。

そうか、今の音は俺の口から出たものか。

男の体がフリーズしている。


「ビッッッックリしたぁ。怖ぁ……ま、まぁ……生きてるから当然だよな。……フゥ」

ようやく動き出した男の口から漏れ出たのは衝撃、安堵、納得が混ざったその一言だった。堅物そうかと思ったが、意外と怖がりなのかもしれない。

感情を伝えられはしなかったが、得たものはあった。どうやら俺が生きてるのは当然のことらしい。

まぁ自我があるのも気づいてるし、痛みも感じたから、自分が生物であるだろうという検討はついてたが。


なら今度は……

さっきと同じ要領で…でも少し力を込めてみる。

「ァ…ァァ…ァ」

「…本当かよ。もう声の出し方覚えだしやがった。」



「ァァ…ゥ…ァ」

「俺の方見てる。覚えた要因俺か?独り言言い過ぎたかね。」

「ォ、オレ」

「……俺だな。要因。」



「ま、まぁ特に支障はないか…先生に任せよう。問い詰められたら…黙ってよう」


……どうやら喋るという行為自体は、俺がやってもこの男は違和感を覚えなかったらしい。

先程から見えてる自分の体とこの男の体のつくりの共通点、言葉が通じる……俺は目の前の男に限りなく近い生物なのかもしれない。



「それにしてもこれの成長速度は凄いな、そろそろハイハイくらいは…」


ウィーン


先程もう一人の男が出ていった所が開いた。


また…誰か来たのか

「あ、先せ…え!?なんでここに!?」

男の声に驚愕の色が突如としてあらわれた。それから……

パンッパンッパンッ

ヒュンッヒュンッ…シャ


な、なんだ?男がなにか黒い筒のようなものを……先から光と煙が?

それにそれと向かい合うアレは…なんだ?


「くそ!装備が少なすぎ……グァ!」

「何か」から放たれた一撃が男の体を吹き飛ばし……その上に何かが覆い被さる。

「クソッ。退けよ!」

慌てて引き離そうとする男に、その「何か」が顔を近づける。



なんだ?男の体が…動かなくなった?

男はその「何か」の顔にあたる部分が近付いた瞬間に体の動きを止めた。いや、あれは止めたと言うより…


その「何か」は男の体に何度か顔を押し付けた後、ゆっくりと男から離れた。

ドチャッという物音がする。倒れる身体、流れる血。そうか、この生き物は、あの男の命を、問答無用で終わらせたんだ。


こいつ、俺の方見てるよな。その生き物はその両眼で俺をじっくり見据えていた。

その目は、見逃してくれるかなんて贅沢な希望を俺に与えてはくれなかった













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