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眠れぬ夜に独り言

作者: 鏡夜 涼
掲載日:2020/05/03

...寝る方法をどこかに忘れた気がする。

寝るのに方法もへったくれもあったものじゃないが、とにかく眠れないのだ。

疲れているはずなのに寝付けない。

身体が緊張しているのか、はたまた緩みすぎているのか。

そうではない気がする。身体は至って通常どうりだと思う。

おかしい。

いつもはどうやって寝ていたのか。

思い出せない。

思い出せないと言うか、普通はこんなこと気にせず眠ることができてしまうのだ。

こう、すやぁ...と。

普通にできたことができなくなっている。

私は退化しているのか?

周りが日に日に進化していく中で、私だけ。私だけが。退化。

なんと虚しいことであろう。

むなしさと同時に、焦りも感じる。

入眠できないというのはこれほどまでに虚しいことだったのだ。

不眠症の方々はこのような苦しみを毎日...いや、これ以上なのかもしれない。

これはれっきとした社会問題である。

新型ウイルス以上に、とまでは言えないが、社会問題として...ニュースかなんかで取り入れてもいいのではないだろうか。

不眠症の恐ろしさを。

...ん?

私は不眠症なのか?

眠れない。寝付く方法がわからなくなった。

...不眠症なのかもしれない。

私は医師ではないので正しく診断することができない。だが私の身体だ。私が診断したってきっと問題ないだろう。

私は不眠症だ。そうしよう。

解決するべきは...不眠症を?

いや、今入眠出来ればそれでいい。

うん。そうだ。私は眠りたい。

夢の中へ沈みたい。

...そう考えると私の不眠症は夢や眠りの浅さなどの夢に関するものではないようだ。

うーん。では何が原因なのだろうか。

身体に問題が見当たらないのはさっき確認した通り。

気持ちの問題か?

...と私はいつから研究者になったのだろう?

私は眠りたい。ただそれだけの、患者のはずなのに。いつから医者になっていたというのだ。

でもまあ、当然といえば当然なのかもしれない。

だって私は診断してもらう患者であると同時に診断する医者の役目も担っているのだから。

さて、どうしたものか。

眠りたいと考えると眠れないような気がする。

勘だ。少々経験に基づいた、ただの勘。

では他のことを想像してみようか。

妄想の方がいいのかもしれない。

よし。

...うーん。考えろと言われるとなかなか考えることが出来ない。

シチュエーションを限定するか。

...ここはだだっ広い草原だ。

上には真っ青な空。下には一面の緑。水色の中にギラギラ光る円が1つあり、緑に白い綿が混じる。

愛犬のコーギー一緒になって綿を追い込み、1つ1つ丁寧に数を数える。

羊が1匹...。羊が2匹...。羊が3匹...。羊が...


いつの間にか寝入ってしまったようだ。

カーテンの隙間から漏れる光が眩しい。

さすが、昔から信じられてきた知恵だ。ちゃんと寝入ることができた。

いや、別に信じてなかったとかそういうことじゃない。

もちろん信じていたとも。当たり前だ。うん。そうだ。

ただ、これからはもっと信じて生きていくことにしよう。

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