1 プロローグ
そこは小さな洞穴のような場所だった。
洞穴の奥のほうの地面がボコりと盛り上がり、人のような何かが這い出てくる。
黒いローブを身に纏いフードを深くかぶったその姿からは、中身をうかがい知ることができない。
それはその場にあぐらをかいて座り込み、大きく伸びをする。
「うー、よく寝た。こりぁあ、だいぶんたまってんな。こんなけありゃあおそらくできるが、さて今回はどうするか...」
少し思案する素振りを見せたかと思ったが、すぐに結論がでた様子。
「まあ、今さら暴れても仕方がねえ。前の奴はハズレだったが、いないよりはマシだった気もするしな」
呟くその者の右手が淡く光り出す。
その右手を広げると、幾何学模様が浮かび上がり、何かが産み出された。
それは手のひらサイズの人形のようなもの。
「少し不恰好だが、俺様はこれでいいか」
その人形をフードの内側の頭の上に置く。
「暇潰しにはもってこいだが、俺様の身体を媒介にしなけりゃならんのは、なんとかしねぇといけねぇな」
言うと同時に次は身体全体が光りだし、その者を囲むように幾何学模様が浮かび出す。
「次は当たりな奴頼むぜぇ」
気にしなかったのか、気付いていないのか、外の騒がしさを気にもかけず、その者はその場に倒れ込んだ。