プラバン
ご無沙汰していました。よろしくお願いします。
暑くなって草や木がぼうぼうの場所を美しく整えて欲しいという依頼が相次ぎしばらくのり子ちゃんにも会いに行けなかったからマスカットを手土産にして(スイカはわらしが作っているから)わらしん家に遊びに行った。
「あら?カハクちゃんいらっしゃい。久しぶりね。」
「のり子ちゃんこんにちは。これお土産。」
「わ~マスカット。美味しそうね。ありがとう。」
のり子ちゃんは、『もちぷっち』と書かれている箱から粉をお湯を入れたボールに入れてぐるぐるかきまぜた。電子レンジでチンしてぐるぐる混ぜてを何回か繰り返した後、サランラップにそのドロッとした物体を乗せて、そこにマスカットを1粒入れてらラップを茶巾絞りにして氷水の張ったボールにそーっと落とす。
「のり子ちゃん、それ私もやりたい。」
「うんどうぞ。」
「もうちょっとしたらわらしさまもお使いから帰って来るから、おやつにしようね。」
「うん楽しみ。」
一体どんな味がするのか楽しみ。綺麗に球体になるよう細心の注意を払って丸めていく。
「はぁ。それにしても退屈なんだよね。」
「のり子ちゃんどうしたの?」
「わらしさまも大介君も過保護すぎて根を詰めるような作業は何もさせてくれないから暇を持て余してるの。」
「ふ~ん。じゃぁ簡単に出来る系のハンドメイドでもする?」
「そんなのあるの?」
「あるよ。」
「じゃぁおやつ食べたら早速みんなで作ろう。カハク先生よろしくお願いします。」
「どんなモチーフにするかまず考えてね。」
のり子ちゃんは何のモチーフにするかあれこれ悩みながらも手は器用に動かしてマスカットが入った球体を氷水の中に落としていった。
わらしが元気よくドアを開けてドタバタとキッチンに帰ってきた。褒めて褒めてと言わんばかりのドヤ顔だ。鬱陶しい。
「のりちゃんただいま。お使いしてきたもの冷蔵庫にしまっておくね。」
「わらしさまありがとうね。もうすぐおやつだから手も洗って来てね。」
「もう洗ってきたよ。のりちゃんに外からの汚い物は一切触れさせないから。」
えっヘンと胸を張っている。当たり前ダロと心の中でだけ突っ込んだ。
もちぷっちはぷるぷるのわらび餅みたいでほんのり甘く、さらにマスカットが爽やかさをプラスしていた。帰りに買って帰ろう。
テーブルを片付けてプラバンを紙やすりで満遍なくこすって傷をつける。わらしは、プラバンの下にアニメのキャラクターを敷いて油性マジックでなぞっている。何で大きなオオカミと刀を持った血まみれの少年。グロすぎる。わらしは真剣にトレースしていた。のり子ちゃんはすみっこに集まってくるキャラクターをたくさん描いていた。
描きあがったら、裏返してクレヨンや色鉛筆、マジックなどで色塗り。
パンチで穴をあけてパーツを繋げれるようにしたら絵の1センチ外側を切って絵の形に合わせる。後はトースターで焼くだけ。
縮んでいくプラバンを見てわらしがはしゃいでいるのを冷たい目で見てしまった。
少し冷めたところで本で重しをして平らにする。
後は、丸環をつけてもいいし、ボールチェーンでもいい。
「あら?カハクちゃんのは小さなパーツがたくさんなんだね。」
「うん。きのこのネックレス作りたかったから。」
「なんだか見たことが無いキノコがたくさんあるんだけど。」
「この青いのは、アモラルダケ食べると口の中でパチパチするんだよ。こっちの赤い水玉はブチブチダケ触ると胞子が飛び出すんだよ。人間界には生息していないからのり子ちゃんが見た事無くても普通。」
「へぇ~。」
私はせっせとパーツを皮ひもに結び付けてきのこ尽くしのネックレスを完成させた。その横でのり子ちゃんが珍しそうにきのこのプラバンを眺めていた。