表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

花のカゴバック

拙作をお読みいただき、ブックマーク、評価ありがとうございます。多少需要があったようなのでよかったです。


「かはくちゃんのカゴバック可愛いね。」

「ありがとう。自分で作ったの。」


 わらしが外に出られるようになってから、私達はいろんな場所へ一緒に出掛ける機会が増えた。その結果チコちゃんと私はお洒落な服やお洒落な雑貨を集めるようになったのだ。

 それでも、自分が欲しいと思う物が見つからない時や、もうちょっとこうだったらかわいいのにと言う時は、自分で手を加えたりするようになったの。

 この白いカゴバックもレトロで気に入ったのに、何も飾りがついていなかったから、その日の気分で籠の側面や、フチにお花や蔦を生やしている。


「あたしも欲しぃなぁ。だけど、かはくちゃんのカゴバックみたいに生花じゃぁ1日しか持たないよね。」


 今作ってあげるのは簡単だけど、長持ちと言われるとチコちゃんの霊力だけでは難しいかもしれない。ん~どうなんだろう?ここは安牌でいこう。


「造花で作ればひと夏使えるよ。」

「ほんと?嬉しい。」

「ワンピース買い終わったら、材料買いに行こう。」

「賛成。」


 私達は、中国人の観光客かってくらい爆買いした。何せ、サイズが子供サイズから大人サイズまで欲しかったから。子供の時にしか着れない大人が着たらイタイ子に見えるワンピースとか、そのまた逆に子供が着ると背伸びしてるだけでちっとも似合わない大人向けのドレッシーなワンピースとか、それに付随するカーデガンやボレロ、ベルトなんかもたくさん買った。

 買ったショッピングバックは、片っ端からチコちゃんが鳥居に投げ込めば手ぶらでショッピングに集中できたからね。

 思う存分買い物を堪能したから、カゴバックの材料を買いに、店舗用の問屋さんに向かった。ここはお菓子から文房具、ウェディンググッズまで1店舗で揃うので油断すると凄い量の買い物になってしまう。だけど、今日はチコちゃんが居るからリミッターは解除。


「チコちゃん、どのカゴバックにお花を付けるか決めよ。」

「うん。のり子さんにも作ってあげよ。」

「そうだね。じゃぁわらしん()で作ろっか。」

「いいね。」

「私がLINEしておくからチコちゃんその間に選んじゃいなよ。」


 チコちゃんが様々な大きさと色のカゴバックを真剣に物色している間にわらしにLINEした。

 カハク:今日そっちへチコちゃんと行く。夕飯希望。

 そのうち既読が付くだろうと、バックの中にスマホをしまった。

 チコちゃんは茶色を選んだから、のり子ちゃんのは黒だな。


「次は造花コーナーね。」

「わ~楽しみ。」


 最上階のウェディンググッズのコーナーには、色とりどりの造花や、蝶、小鳥なども展示してある。あれもこれもとお花を手に取るチコちゃんに、


「チコちゃん、お花付けすぎると何も入れてなくてもバック重たくなるからお花は厳選した方がいいよ。」

「大丈夫。あたし力持ちだから。」


 ……のり子さんのカゴバック貧相に見えたら嫌だから後でもう少し小さいサイズのバックと交換してこよう。

 余ったお花は妹弟子にも作ってあげようかなと、チコちゃんが言うのでグルーガンとグルースティックも買った。

 鳥居をくぐってわらしん家にお邪魔すると、いなりとわらしがコントローラーを握り締めてアツクなっていた。何でも世界を救うらしい。


「まずね、どの花をどこに置いて隙間は葉っぱにするか小花にするか決めていってね。」

「あ~全部使いたい。」

「……バランスが大切だからね。」


 チコちゃんが悩んでいる間に私は、ペンチで花と茎を切断してグルーガンで接着していく。バックの側面に接着したお花の配置が終了したところで、のり子ちゃんが帰ってきた。

 ずだだだだと走ってわらしがのり子さんに得意顔で報告している。


「のりちゃん。かはくちゃんがのりちゃんのカゴバック作ってくれるんだって。」

「カハクちゃんありがとう。」


 もうすぐ完成するカゴバックを覗き込んで、何かひらめいたのかのり子さんは自分の部屋に入って行った。カラフルな布を持って降りて来たのり子さんが、


「内布付けた方がもっと良いと思うから好きなスカーフ選んでね。」


 そう言うとのり子さんは中表にして袋上に縫い始めた。チコちゃんはまだお花の接着が終わらないから、2人分サクッと縫って、自分のバックに内布を縫おうとしたら。


「あ、カハクちゃん透明な糸あるよ。こっちの太い糸なら丈夫だよ。」

「ありがとう。」

「あたしも、もうすぐ接着終わるよ。」


 内布を縫い付けながらのり子さんが、


「せっかくかわいいバックなのに、お花がポロってとれないか心配。」

「わらし、ブラウニーにLINEで夏の間中ホームステイに来いって呼んで。のり子ちゃんはこれくらいの幅の内ポケット付けて。」


 私の剣幕にいなりが


「チコでも作れるんだからのり子が自分で直せばいいじゃないか。」

ブラウニーは家のことをやってくれる妖精です。夏の間中のりちゃんのバックの内ポケットにホームステイさせようとするカハクちゃんまぢ鬼畜です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ