第2話 俺様の初仕事と家出ヌコの事情(1)
俺様がハンターギルドに来て数日が過ぎた。
最初の夜は臭い人達が大騒ぎしていたからテーブルの下で過ごしたのだ。
朝、茶色の女の人が来て受付の下でじっとする。初めての場所は落ち着かないからな。
夕方、気持ちに余裕が出たから受付の奥を少し探検してみたのだ。紙束を蹴飛ばしたり爪でカリカリしてみたら赤毛の女の子がギャーと言ってたのだ。ダッシュで逃げてた。
夜は臭い人達がごはんをくれた。好きな味が無かったから砂かけ。そしたら、茶色の女の人が魚の焼いたのをくれたのだ。あれは美味かった。
ここは夜中でも誰か居るから、その近くで眠るようにしているのだ。
朝になったら、受付の机で座って臭い人達の依頼票とやらを覗きこんでチェックして、
昼になったら、茶色の女の人のお弁当を横からちょっと食べて、終わったら膝の上で昼寝なのだ。
夕方なったら、臭い人達が戻ってきて騒がしくなるから、俺様は隣の建物へ避難するのだ。
隣は買取り窓口って言ってた。臭い人達が獲物を持ってやってくる。
美味そう獲物を見つけたらスリスリ攻撃だ。臭い人達の臭い臭いはちょっとだけガマンなのだ。
上手く行けば、切れ端を食べさせてくれたりする。「査定が下がる」とか言ってる時は、解体の人の頭の上に登るのだ。
「仕事ができねえ」とか言いながら食べさせてくれるからな。
お腹がいっぱいになったら二階に上がって白髭の爺さんの部屋へ。机の書類でがさがさ遊ぶのが面白いのだ。遊んだら朝までふかふかの椅子でのんびりする。
朝になって白髭の爺さんが来るまでに抜け出せば怒られないから大丈夫だ。
やっと平穏な日々が戻って来た感じだ。
今日も午後から茶色の女の人の膝の上で昼寝しているのだ。そしたら臭い人が受付まで来た。
「ガイルさん、今日は早かったんですね」
「今日は、近場で駆け出しのガキどもの面倒みてたんでな。ところで、みーちゃんはどうしてる?」
「みーちゃんなら、ここに」
茶色の女の人の胸と机の隙間から鼻先だけ出してひくひくひく。今日はあの臭い獲物は持ってないな。机に上がって背伸びする。
「みーちゃん、今日も昼寝か? そろそろ依頼を受けねえと除籍になっちまうぞ?」
「あら、別に良いじゃないですか。すっかり馴染んで人気者ですしね〜、みーちゃん」
赤毛の女の子が、パタパタっとやって来た。
「先輩! ガイルさん、依頼が来たんです! みーちゃんにぴったりの依頼が! ほらほら、パルケス通りで、迷子のヌコ探しですよ!」
「ヌコ探しか、みーちゃんに丁度良いかも知れねえ。期限はどうなってる?」
「えーと、かなり先ですよ。こういうの受けてくれるハンターさんは、ほとんど居ませんからね。かなり余裕あります」
「ヌコ探しは案外難しいんだぜ? 俺達が近づいただけで逃げて行きやがる。警戒されたら気配を消すから、もう見つからねえ」
それは、臭い人達が臭いからだと思うけどなあ。
「規則だから明日の朝に掲示板に張り出して、受ける人が居なかったらお願いしましょうか。みーちゃん、それでいい?」
ヌコ探し? 放っておけばいいんだよ。イヤになって出ていったかもしれないし、帰る気が有れば帰ってくるだろ。面倒だなあ。
「ぅにゃ〜ご」
「よし、決まりだな。頑張れよ。みーちゃん」
「明日、楽しみだねー、みーちゃん」
俺様 やるって言ってないのに〜 勝手に話が進むのはいつもの事だけどな!
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