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第1話 俺様のプロローグ(5)

茶色の女の人(エヌエラ)がやってきた。

「ナリン、ヌコちゃん居る? ギルマスが連れてこいって。悪いけどガイルさんにも伝えてきてくれる?」


茶色の女の人(エヌエラ)は、俺様を抱えて廊下から階段を登っていく。上がった先の一番奥まで進むと扉をノックした。

「連れてきました。入ります」


返事も待たずに扉を開けると、さっさと部屋の中に進む。

部屋は、そこそこの広さ。俺様の全力ダッシュでぶつからないくらいはあるな。

大きなテーブルの向こうに、白い毛並みの爺さんが座っていた。テーブルには紙束が山積み、ごはんは置いてない。テーブルってごはんがあるところじゃないの?


「そのヌコか? たしかに妙な気配は感じるが、普通のヌコに見えるのぉ。どれ、プレートの記載を見させてもらうぞ? よいかの?」

白髭の爺さん(ギルドマスター)が、プレートに触れた。ふわんと光って、あの画面が出てきた。

「ふむ、みーちゃんか。種族がハイ・キャット? 職業がイエネコ? どっちも聞いたこともないのお」


扉がドカンと開く

「おう、ジジイ、ガイルだ入るぜ!」

「ガイルか、リハビリはどうじゃった? すっかり元通りのようじゃの。それでこのヌコなんじゃがのぉ」


「こいつ、東の草原に一人で居やがったから連れてきただけだぜ。最初は魔物かと思ったんだけどよ」

「東の草原か、あんな場所にヌコだけで居る訳はなんじゃがのお。こやつの名前は"みーちゃん"らしいぞ」


「ほぉ、名前がわかったのか、飼い主でも見つかったのか?」

「いや、新人の嬢ちゃんが間違えてハンター登録してしまいおった。プレートで読み取れたんじゃ」


「ガハハハ! すげえな。何を間違えたらそんな事が出来るってんだ、ある意味天才じゃねえか」

「いくらなんでも動物をハンター登録できる訳なかろう。どえらいことをしてくれたもんじゃ」


「そんで、どうだ? 強いのか?」

「HPが10でMPが10じゃの」


「ドハハハハ! まさにヌコじゃねえか」

「スキルが、コタツと、無限収納、言語理解じゃ」


「無限収納だと? すげえレアスキルじゃねえか!!!」

「それに、言語理解じゃ、儂らの話を理解しておるのかもしれん。いやスキルじゃから理解しとるじゃろうな」


「まじかよ、お前、おれの言葉わかってるのか? なんとか言ってみろよ、ほれほれほれ」

なんか、めんどくさい事言っているぞ、そりゃ言葉は解っているけどな、喋れないんだよ。とりあえずニャーでいいか。

「にゃ」


「ふむ、理解はしても、喋れぬのかもしれぬの。お主、右前足を上げてみよ」

やだよ。ぷいっと横を向く


「やっぱ、理解してねえんじゃ??」

「わからんのぉ・・・あと、こたつじゃ、こたつって何じゃ?」


「ほら、みーちゃんよ、ジジイが聞いてるぜ」

「にゃぁ〜」


「にゃぁ〜だそうだぜ、ジジイ」

「ガイルおぬし、知ってる顔じゃな?」


「まあ・・・な。こいつに最初合った時に妙なもん出しやがった、アレがそうなんだろう」

「それはなんじゃ? 詳しく話せ」


「ジジイ、他のハンターのスキルを漏らすのはご法度だぜ。ハンターの常識だ」

「ヌコじゃぞ」


「こいつは首にハンタープレート下げてるよな。何かの間違としてもF級ハンターって事に違いないぜ。ギルマスのアンタが無視するってか? 本人に聞きゃいいじゃないか、ドワハハ」

「にゃーっ」

「それが出来れば苦労せんわ!!!」


茶色の女の人(エヌエラ)が「コホン」と咳払いする。

「とりあえず、無限収納だけでも大騒ぎの元です。どうしますかギルマス」

「人なら力を付けるまで保護を付けてって所じゃが、ヌコだしのお」


「黙っていれば良いんじゃないですか? プレートを読めるのはギルドでも上位の職員だけですし」

「まさかヌコがスキルを持っているなんぞ、だれも思わんか。ガイルよ、お主も解っておるの?」


「もちろんだ、それで みーちゃんは除籍にするのかよ?」

「それが、理由もなしに除籍するのも問題なのよ。虚偽申請とか、犯罪歴とかがあれば除籍できるんだけど、

この子の手続きだけはナリンが完璧にやっちゃったから・・・」

「そりゃよかったぜ、みーちゃんはハンター仲間だな。よろしくたのむぜ、みーちゃん!」


臭い人(ガイル)がガハハハって笑いながら、でっかい手を頭に載せようとした。

臭いからヤメロ!! ビシッと猫パンチを叩き込む!!!

「イテテテテ、まったく愛想の無いやつだな。いいぜ、そういうのも悪くねえ、ガハハハ」


「ガイルよ、体の調子はどうなんだ?」

「オレか? 絶好調だぜ? どうかしたのか? ジジイ」

「・・・・・・そうか」


「よし! みーちゃん、下で飲もうぜ、みんなに紹介するからよ」

飲むの? パパが飲もうって言ったときは、ちょっとおやつがもらえたもんだしな。よーしっ前足を伸ばして、立ち上がる。臭い足元でにゃんと鳴く。

「やっぱ、こいつ解ってるんじゃないのか? 行こうぜ。じゃましたなジジイ」

臭い人(ガイル)について、とととと歩いていく。


「ギルマス、あれでよかったんですか?」

「うーむ、前代未聞じゃ、わしにもさっぱり解らんのお・・・」


ギルマスは、白い髭をさすりながら暫く考える


「あのヌコ、みーちゃんか。ガイルの手をはたき落としおったぞ」

「あれはヌコパンチって技ですかね。かわいいでしょう?」

「かわいいものか、ガイルが避けられんかったんじゃぞ?」

「ガイルさん、わざとじゃないですか?」

「かもしれんが、血が出ておったじゃろ? C級ハンターともなれば素人の短剣程度で傷はつかん。それを切り裂いたということじゃ」

「そういえば、そうですね。みーちゃんて、強いんですかね?」

「どうなんじゃろうなあ・・・ワシもヌコの本気なぞ見たことがないからのお。まあ、しばらく様子をみてくれ」

「かしこまりました」


俺様が居ないところの話しなんて、興味はないけどな。臭い人(ガイル)が扉を閉めてなかったから、廊下まで聞こえてきたw

それより、おやつ、おやつ、はやく行こう!


---- Copyright (C) 2019 by Wanco @nyanco_syosetu ----

□アルファポリスでも掲載中 (アルファポリスが少し先行しています)


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小説を声で届けるライトーンで掲載中
image みーちゃんのヌコ探しがボイスブックになりました。
あらすじ声優:鈴風さん
俺様のヌコ探し 声優:すみちゃむさん声優:なつさん
こちら:https://www.writone.jp
声の演技でこんなに生き生きとキャラクターが動き出すなんて感動です。
ボイスブック化してくれた 鈴風さん すみちゃむさん なつさん ありがとうございます。

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