第7話 俺様の誘拐事件と倉庫の荷物
口髭の男の胸の毛をひっぱって遊んでたら、毛が無くなって来たな。次は何して遊ぼうか?
見上げたら、口髭の男が凄い汗をかいていた。病気なのか? 大変だなあ。
仕方ないから休憩してやるか。俺様が毛づくろいをして休憩していると、馬車がとまった。
「シエトン、ヌコを連れてこい!」
太った商人が大声で降りて行ったら、口髭の男も青い顔をして降りていく、もちろん俺様は抱かれたままだ。さて、次は何をして遊ぶのかな。
馬車を降りたら大きな建物に入ったぞ。商人さんの倉庫みたいな感じで、もっと広くて大きい。変な荷物が沢山あるけどな。
そして、中で太った商人がうるさくて吠えているのだ。
「おい、ヌコ! 収納してみせろ! どれだけ入るのか見せてみろ!」
うるさいなあ。イラッときたから口髭の男の腕をガブリ。
「っぅお、やめろ!」
腕を離したから、すり抜けて床にすとんと降りてやった。
「シエトン! ヌコを放すな!!」
うるさいなあ。俺様はちょっとイラついているのだ。口髭の男が近づいて来たな。
「ふぅぅ〜ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
顔を引きつらせて後ろに下がっていった。ふふん、ちょっとは常識がわかるようになったのか?
太った商人が顔を真っ赤にして怒っているけどな。「収納しろ」て言うけど、こんな大きな荷物は俺様の力で「ポイッ」とできないのだ。
しーらないっと、俺様は座ったまま「ふぁ〜」とあくび。そうそう、口髭の男で遊んだから、血がついちゃったんだよね。毛づくろいしておかないと。
太った商人がますますうるさくなってきた。
「このやろう! 立場というものを解らせてやる!」
太った商人が短い足で走ってきて俺様を蹴ろうとしたけどさ、・・・どうしてそんなにゆっくりなのか理解に苦しむのだ。
ひょいと足に飛びついて、爪でがっしり掴まえてみた。足を振り回しても取れないもんね。振り回す反動を利用して、がっつりと爪を食い込ませたら、後ろ足でネコキック! 爪だって全開でサービスしてやるからな。
「ひっぁぁぁ」って悲鳴をあげて倒れたから、ふくらはぎをガブリ、ガブリ、ガブリ。
遊びだから、ちゃんと手加減しないとな。思い切りやると足が取れちゃいそうだしな。加減が難しいのだ。
こんどは、泣きながら俺様を掴もうとするから、ぺしっと猫ぱんち。
これも手加減が難しいんだよなあ。ちょっと間違えるとネズミみたいに真っ二つだからな。
太った商人が、とってもうるさいから、ちょっと楽しくないな〜。
俺様はちょいと荷物の上に登って倉庫の中を見渡す。見下ろすと、床の上には太った商人。転がって泣いてる。うるさいなあ。
ほっといて、荷物の箱をくんくん。食べ物じゃないのか。次の箱もくんくん。この倉庫は食べ物がないから、ネズミも居ないのか。
なるほど、だから収納して遊ぼうってことだな。でも、それって面白いのか?
俺様は、あの画面を出してみる。ここにポイッとすれば入るんだけどな。
この荷物は俺様の何倍もあるから無理なのだ。
画面を臭ってみる。くんくんくん。もちろん何も起きない。前足でつついてみる。ちょいちょいっと。画面がちょっとゆらゆらする。ちょっと面白い。
爪で引っ掛けてみる。お? 引っかかったぞ。引っ張ってみる。画面がびょーんと伸びた。前足を降ると爪が外れてパチンと元通り。ちょっと楽しい。
もう一度、爪を引っ掛けて引っ張る。にょーんと伸びて。あれ? 爪が外れなくなったのだ?
前足を思いっきりブルブル振っていると、パチンと爪が外れて画面が飛んでいった。あれ?って思ったら箱にぶつかって・・・消えた。画面も箱も消えた。どこいったのかな? とおもったら収納に入ってたのだ。なるほど、こうやって遊ぶのか。俺様は新しい遊びを発見したのだ。
よし、遊ぶぞ。白髭のじいさんも思いっきり遊でいいと言ってたしな。
画面を爪で引っ掛けてポイッと飛ばすのだ。箱に当たったら消える。
積まれてる箱の上の方を消しても面白くないけど、下の方を消すと、どさっと崩れて面白いのだ。どんどん消していくと、倉庫の荷物が無くなってしまった。
もう終わりか? つまんないのだ。あれ? 誰も居ないな。太った商人も口髭の男も。
どこへ行った? 次は何して遊べばいいのだ?
扉が少し開いていたので、俺様は外へ出てみることにした。
外に出ると風が涼しい。倉庫の中はちょっと蒸し暑かったからな。
あれ? 隣にも倉庫があるのか。ちょっと行ってみよう。ふんふん、お肉の臭いかな。美味しそうだぞ。もうすぐ、ごはんの時間だし、食べ物をもらうのだ。
てててと走って、隣の倉庫の扉まで来た。けど扉は閉まっていて入れない。
扉を引っ掻いてみたけど、開きそうにないな。
倉庫を見上げてみた。やっぱり大きい建物だな。でも、俺様より大きい木箱でもポイッとしたら収納できただろ? もしかして、出来るかも。
画面を出して、爪で引っ掛けて、ちょっと力を強めにポイッっと・・・・
よし、入ったのだ。画面が倉庫にぶつかって消えたのだ。
じゃあ、部屋でゆっくりさせてもらおうかな。あっちの屋敷に誰か居そうだから行ってみるのだ。
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