第1話 俺様のプロローグ(1)
俺様はネコなのだ。
名前は・・・なんだっけ?
ママはごはんをくれる、遊んでくれるシローと、夜遅くにに帰ってくるパパが俺様の同居人だ。
・・・あれ?・・・誰か呼んでる?・・・
◇◇◇◇
気がついたら白い場所にいた。
ここ何処?
鼻をつきだして、くんかくんかくんかくんかくんか
なんの臭いもしない。
へんな場所だあ。
あれ? 誰かいる。ママじゃない女の人。金色の毛並み?
夜中にパパがみてた動画に出てた子? 服は着てるな。
金色の変な女の子が、困った感じで話しかけてきた。
「えー・・・みーちゃんさん? あなたはお亡くなりになりました。
ん? まだ死んでないの? ・・・この子に言葉は通じてるのかな?」
ネコも言葉は解るぞ、少しだけ。
人の変な声が出せないだけだよ。
「え? ネコ? そうなの? 私は人間担当だから、ネコさんは初めてかも」
お〜 通じたぞ。この変な子は やっぱり変なヤツなんだな。
「どうしてネコさんが来たのか、さっぱりなんだけど・・・
何か変だな〜まあいっか?」
変な女の子は、持っていた紙束をチラチラ視ながらこう言った
「みーちゃんさん、あなたは人生を終えられました。
そしてなんと! PaiPaiの神様の気まぐれキャンペーンに見事当選!
夢の異世界移転の特典が与えられます!」
なんだ? こいつ? ママが夜中にみてた なんとかショッピング?
「業務マニュアルにセリフが書いてあるのよ!
仕事なの! 恥ずかしいわよ、わたしだって」
うん、そうそう、俺様の名前は、みーちゃんだったな。
シローくんが、みーちゃんと呼ぶから、それが名前なんだろうとは思ってた。
ネコなんて、そんなもんだ。
「通じてるような、通じてないような・・・
そもそも、ほとんど死んでるのに転生じゃなくて転移扱いなの?
ネコさんを異世界に送ってどーするのかしらね?」
異世界? シローが布団の中で観てたアニメであったなあ。魔法とかモンスターとか、ご飯食べたり、女の子と仲良しになる話でしょ?
「ネコって色々知ってるのね? それで、え〜と・・・・」
紙束をパラパラめくって
「あ、あったあった。あなたには特別に言語理解と無限収納のスキルが与えられます。うん、ここはテンプレ的なのね。あと追加で何か希望のスキルを選べるわよ、何がいいかしら?」
ん?
「ん? 何が欲しいのかしら?」
こたつ
「こたつ? コタツって炬燵よね?」
ごはん
「ごはん? 食事は大事だけど、それってスキルなのかしら???」
といれ
「ワケわかんなくなってきた。う〜〜んと、あ、大丈夫よ、私がなんとかするからね!」
何とかしてくれるらしい。
かんばれー
俺様は退屈。女の子の服のヒラヒラしてて面白そうだ。
「えーと・・・まずはこの子の生前ポイントをMNPで移行して・・・
なるほど、ママの病気を身代わりに? 頑張ったのね・・・
なら、ボーナスポイントもつけて・・・」
女の子は、小声でブツブツ言って、しばらく考え込んでた。
気付かれないように服のヒラヒラに爪を引っかける。
あ! 抜けなくなった! 引っ張ってみる。
「わわわ〜 ダメでしょ〜。もう少し待ってて」
何もないから、退屈なんだよね〜
「オッケー何とかなったわ〜 コタツはスキル特典で、ごはんは私からの特別サービスってことに出来たわよ。ほらほら、公園とかで野良猫さんにエサあげてる人いるでしょ? そんな感じ。トイレはね、適当に好きなところで大丈夫だって」
そっかー凄いね〜よくわかんないけど〜
「それじゃ準備もできたし、そろそろお別れの時間ね」
金色の変な女の子は俺様の頭をナデナデする。
これはママのナデナデより良いかもしれない。
思わずゴロゴロ言ってしまう。
「元気でね」
俺様が目を開けると草原にポツンと座っていた。
草の匂いがした。パパの靴下の匂いよりは好きかな
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