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ANT ANoTHerWORLD

作者: SF

時間という枠組みが無くなってしまった時代。。。

幾度かの紛争で街は消え、果てしない荒野が続く。


もはや国境も、多くの植物の影も消えた。

かわりに突然変異で生まれたミュータントと疫病、マシーネと呼ばれる狂った機械が俳諧している。

シェルターにあった食料はとうに底をつき、今後の生活をどうしたものか。。。

明日への糧を求め途方に暮れる。


今ここにいるのは5人。

ティータ、キキ、スレイド、シン、ブラウニーそして私だ。

最初は20名ほどいたが、いつの間にかこれだけに。。

失踪や発狂して自決してしまった者も多い、


「このままココで死ぬ のはヤだよ。外へ行こう。」

街の外にはたくさんの危険が待ち受けている。

ここから旅立つのは、それ相応の覚悟が必要なのだ。



数日前から救助信号が発信されている大陸へと向かうことにする。

倉庫から永く使われていないモーティヴスピーダーをひっぱり出す。

レールが果たして目的地までつづいているのだろうか。 て


鈍いエンジン音とともにゆっくりと動き出す。

永く動かしていないせいで、埃が車両のあちこちにつまっている。


荒涼とした大地を行く。

地平線にビルの廃虚が見える。


不慮の事故で世界じゅうに散らばった細菌兵器。。。

瞬時にして多くの動物が死滅し、免疫のあるいくつかの生命体のみ生きながらえている。

身体の中に抗体を持つ者、もしくは機械のみが存在を許される。


分岐点に遭遇。

左、右、どっちだ。


ひとつの選択が生死にかかわる。


地図の細部を調べ右へ行くことに。


命運は神のみぞ知るだ。 ゆるやかな永い坂を上ると異様に大きく見える太陽が。

赤い、赤い夕日が焦土と化した瓦礫の山を染めぬいていく。


坂を下りきったそこに突如、物陰から機械音が、、、!

マシーネだ。

それもメガトン級の。


「どうするんだよっ。」

「武器だっ。レールガンを。。」

「だからボクはあそこを離れたく無かったんダ。」


「こわいよー。」

「はやく銃を。急げ。何やってるんだ。」

車内をあたふたあわてふためく。


巨大な腕を振り上げて狂った工作機械が襲いかかってくる。

震える手でレールガンの照準を合わせる。


鉄の軋む不快な轟音とともに、どでかいカッターが振り降ろされる。

後退して一瞬の刹那でかわす。


「はやくやっつけろ!撃つんだ。」

車体の上部、側面から砲台がせり出す。

「このままバックして振り切ろう。」

「ダメだ。どうしても、ここを抜けないといけないんだ。」

「死んだらもともこもないだろ。」



必死に応戦する。

このままここで死ぬのか。

戦闘中、生死の分かれ目だというのに心のどこかは冷静だった。


手当りしだいに打ちまくったレーザーが命中。


「やった!やったよ!」

「見ろよ。当たった。」

「ヤッホー!」


うかれる仲間達。

ひとつの脅威を乗り越えたのだ。


「なんでもきやがれって。」

さきほどまで、あんなに後悔をもらしていたブラウニーがいきりたつ。


どこまでも果 てしなく続く瓦礫の山。。。

このまま目的地まで何事も無ければいいのだが。。


ターニングポイントまで後わずか。

依然、救難信号は続いている。


夕闇が迫る。

瓦礫に埋もれた避難バスが。

安住の地をめざしての行く末か。


明日は、ひょっとすると我が身のことかもしれないのだ。


延々と続く瓦礫の荒野を抜け、まだ比較的こわれていないビルの多い都市部へ。


目的の研究施設だ。

データによると遺棄された政府のバイオ研究所らしい。


生存者の安否を思う。


救難信号が、もしもマシーネの罠だったら。。。

一抹の不安を抱えながら、ゆっくり施設の中へ進む。


モーティヴスピーダーを車庫へ滑り込ませる。

何両かの新型コミューターが並んでいる。


たくさんの人間が生きていれば利用されていたことだろう。


降りた先でPDAが突如鳴り響く。

「!」

「どうしたの!?」「近くだ。こっちに向かってくる。」

、、、生存者か。


「行ってみよう。」

「無事でいるといいね。」


はやる気持ちをおさえながらセンサーの反応する方へ走る。


「!?」

喜びいさんで行き着いた発信源には、広大なプラントでひっそりと植物を育てるマシーネが待ち受けていた。


ゆっくりゆっくり、そばに寄ってくると「アナタガタヲオマチシテマシタ。」

とぎこちないマシンボイスで語りかけてくる。


この区画もとうの昔に破棄されていて、人間のおきざりにしたロボットが忠実にプログラムに従って任務を遂行していたのだ。


「これ、なんの植物かな。」

「食べれるの?」


「ジャガイモじゃないかな。前にシェルターのライブラリーで見た。」


「ソウデス。アナタガタノショクリョウニナルジャガイモデス。オイシイデスヨ。」


救助信号、、生命反応はこの植物だった。

このマシーネは自分の育てた食料を食べる人間が来るのを待っていたのだった。



あれから何年がたったのだろうか。

その後、僕らはここに住み、前の住人が残していったものを眠りから起こし、作りなおし、創りだし、街を広げていった。


ひと仕事終えた後に、徐々にきれいになりはじめた空がよく見える丘で、きらびやかな夜景を眺める。



また、ここから、いろいろ始まっていくんだ。


街のほのかな明かりを見つめながら、そう思った。


今はキャベツを育ててる。

ジャガイモだけじゃ飽きるしね。


ここでずっと待っててくれたマシーネと共に。



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