第0話 プロローグ
少し『昔の話』をしよう。
時は平成、所は日本の片田舎。
そこに年の頃は十八、中肉中背で顔は可もなく不可もない、しかし、そこはかとなく暗い雰囲気を醸し出す青年がいた。
私である。
よくある話だがその青年は不幸な人生を送ってきた。
人の良すぎる父親は他人の借金を背負い込むことになり、働き者の母親は無理がたたって体を壊した。
まだ幼い妹を抱えたその一家は、父親の稼ぎだけでは足りず、惜しみながらも高校を中退して青年が働きに出るほか道はなかった。
ねっ、良くある話でしょ?
でも、不幸は続くってのが相場なもんで、連日連夜働きづめで借金取りに追われる生活をしていた父親が、つい煙草を吸いながらウトウトとしたことを責められるだろうか……
結果はもちろんの大惨事で、焼け跡から三人の遺体が発見された。
働きに出ていた青年が、職場でその知らせを受けどのような状態になったかは想像がつくというものだ。
その日から青年は、絶望し、悲嘆に暮れ、「どうにかして家族を救える手立てはなかっただろうか」、「どんな汚いことをしてでも金を手にしていれば、こんなことにはならなかったのではないか」とそんなことばかり毎日考えるようになった。
考えに考えに、考え続けて歩いていたら、周りが全然これっぽっちも見えなくなるのも頷ける話で、気づいた時には大型トラックのヘッドライトが目の前にあったのである。
閃光に包まれた後、私は真っ白な世界の中を漂うように過ごした。
あれはどれ程の時間であったのか今では見当もつかないが、ある時突然に見えない力に引っ張られているかのように新しい光の世界に放り出されたのだ。
放り込まれて最初に気付いたのは、聞き慣れない言語とまるで赤ん坊のような声にならない自分の泣き声、そしてまさしく生まれたままの裸の格好の自分……
そうっ、不幸な人生を生きてきた青年は、この新たな人生を生き直していくことになったのである。
この剣と魔法とその他もろもろのファンタジーな世界で……
どうもはじめまして。
こういった何かしらの創作物を発信するのは初めてですので、勝手がわかりませんが。何とか更新していければと思います。
ここまで読んでいただいた皆様、ありがとうございます。
今後とも読んでいただけるよう頑張っていく所存ですので、よろしく願います。