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あいかわらずパクリまくりです

相手の強大な力に恐れおののいているわけではない。

 

僕は対策法を知っているから。屠ることは出来る。打ち合わせ用の原稿はさすがに使えないが、ドラゴンマガジンがある。


 ここにあるのは、富士見書房が誇るヒット作品……パワーは十分以上だ。「デート・ア・ライブ」「これゾン」「生徒会の一存」……まだまだあるぜ。ヒット作品。メディアミックス作品。


 ドラゴンよ、お前がどんな「元ネタ」の産物か知らないが、ラノベ売り上げトップの作品に敵うとでもいうのか? それこそお笑い草だ。



 ……が。


 正直。


 こんなのにつきあってる暇はないのである。



 さっさと僕は編集部に行きたいのだ。


 しかし足が……バスがなくなってしまったからな……「困ったな」というのは、そういう意味だ。遅刻してでも、やらなければならない。まあ、琴さんのお墨つきがあるのだから、大丈夫だろう。


 しょうがない。


 一分で片づけてやる。それで、ここいらのひとに恩を売って、誰かに編集部まで乗っけていってもらおう。


 「琴さん、下がっていてください」


 僕は傍らの少女に、まるでラノベ主人公のように語りかける……かっけーわ。やばいわ。僕は成功者である上にヒーローかよ。


 「え……塔乃森先生……」


 「あれ、片づけますから。で、さっさと編集部行きましょう」


 「ど、どうやってですか?」


 「そりゃこのドラゴンマガジンで……って、あれ? 僕ドラマガどこやった?」


 鞄の中、ない。鞄の中、ない。大事なことなので二回いいました。




 え?



 ……え?



 ド、ドラマガどこいったぁぁぁぁああああぁあ!



 「も、燃えちゃいましたよ、塔乃森先生のドラマガ。ほら、バスの席の、前のところのネットに入れてたじゃないですか」


 あ。


 そうだったよ。琴さんに話しかけられて、椅子裏側の物入れに放り込んだままだった。そっから音楽の話にうつつを抜かして、完全に忘れてた。


 ……って、おいをいをいおい。


 それじゃ僕、テキストないじゃんか。


 テキストないってことは、なにもできないじゃんか。



 ………………………………どうしよう。



 「と、塔乃森先生、すっごい顔青いですよ? それから、すっごい形容しづらい歪みっぷりですよ?」


 うん。あんだけ決めといてさ、で、相手を鎧袖一触で屠るっていう、ドヤ顔にしてキリッな感じで大言壮語、さあこれからソード●ートオンラインのキ●トさんがごとき俺Tueeeeee的展開が待っていた、というのに、これ。


 僕はorzのポーズをとるしかなかった。ううううううう。


 そんな僕を見て琴さん、


 「やっぱり……塔乃森先生も、『具現化マテリアライズ』が、自在に出来るひとだったんですね……」


 「そうです。でも僕のLAOにおける能力は、『テキストありき』なので、ドラマガ焼けてしまった以上、なーんにも出来なくなってしまったのです」


 「もしドラマガあったら?」


 「一分以内にあんなのヌッ殺す自信がありまくりました」


 「でもないんですね」


 「イグザクトリィ(その通りでございます)。笑ってください……恥ずかしい……」


 僕はorzのポーズをとりながら、両手で顔を覆ってさめざめと泣く。


 どうしよう……今度はまじにどうしよう……生き延びる的意味合いで。


 「大丈夫ですよ、私に任せてください」


 僕は琴さんを見上げる。決してパンチラ的意味合いはない。ほんとほんと信じてください。


 そんなことよりも、僕は琴さんの言葉に、すごい、芯の強い、確固たる意志を感じ取って、なんか、こう、背筋がビビッときた。


 あの優しい琴さんが、眼前にそびえる巨竜に対して、眼孔一閃、マジモードに入っている。


 ひょっとして……


 「琴さん、さっき、僕『も』っていいましたよね、じゃあ……」


 「はい。私も、できます。具現化の異能――魔曲で」


 そうか……だからこその、ギターか。


 琴さんはくるりとギターケースを回転させ、一瞬で深紅のギターを取り出して、肩にかける。  その行動は二秒以内、そして、ジャラッ、と、ギターをワンストローク。


 そうしたら、そのまま落下するように思えたギターケースは「空中に浮いた」。いつの間にか、ギターとケースの間には長い長いコイルタイプのケーブル(カナル型シールド)が接続されていて……ギターケースの中には、機械が備え付けられていた。アンプである。あのギターケース、アンプ内蔵式だったんかい! えらくマニアックな代物を……。


 ていうか。ケース(アンプ)が浮いてる時点で、もう異能は発現してるってことか……手慣れだ。


 そして。


 琴さんはギターを掻き鳴らしはじめる……こ、このイントロはっ!


 メタル! ヘヴィメタル! しかもこの曲……


 琴さんは、絶対に引かんぞ的な勢いで、そのイントロを弾く。不穏さと、「攻撃」のはじまり を告げる、あのイントロ。


 歌い始める琴さん。


 やがて、我々の背後の空間に、魔法陣が展開され、そこからじりじりと、戦闘機が出現する。


 あの琴さんが、実に攻撃的にリードギターを弾き、吐き捨てるようなシャウト気味の声で歌う、歌う、歌う……

 


アイアンメイデン「Aces High」を!

メイデンのあの曲は、こういう曲です

http://www.youtube.com/watch?v=ZO6giM9UAv0


どれくらい世界中のメタラーから愛されてるかは、次のライブを

http://www.youtube.com/watch?v=COvCPJGjaiE

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