辺境領への遁走2
パライズを引いて王都の門を抜けたら、颯爽とパライズに騎乗して街道を移動してゆく。
馬車だと辺境領まで一週間かかる道のりだが、各所突っ切って最短ルートで馬を駆れば実は三日で辿り着く。
それも、私の聖魔法でパライズの疲労を回復させる力業付きゆえに出来る荒業の移動方法だ。
たまに辺境に用事があっていくときも、この最短ルートをいつもパライズと一緒に移動していたので私たちには慣れた道のりである。
「今回は、行きっぱなしの旅になるからね。でも、パライズは辺境伯領ののんびりしたところを気に入っていたからちょうど良いわね」
最初の街も抜け、次の村に差し掛かる手前で休憩を挟んだところでパライズに声をかける。
パライズは同意というようにブルルと鳴いて答えてくれる。
休憩していた木の上からはリスが降りてきてパライズの頭にちょこんと乗った。
パライズは穏やかないい子なのでリスが乗っても、許している。
「あら、可愛い子。でもそろそろ私たちは行くから、元の木に戻りなさい」
そんな私の声掛けに、リスはキュ、キュキュと鳴くと戻っていった。
昔から動物たちともなんとなく意思疎通出来るのでこんな感じで話が伝わることが多い。
「さ、今日中に道のりの半分のガトン村までたどり着きたいから頑張りましょう」
パライズに声をかけてまた駆けだす。
パライズは道も覚えているので、問題なく街道を逸れて最短距離の草むらを駆け抜けていく。
その際に、エイネイ様が掛けていた追跡魔法を断ち切った。
これも総魔力量が私の方があるから断ち切れたし、魔法が掛けられていることにも気付けるが。
「この辺りで切ればここら辺の捜索になるから、少し目くらましになるでしょう」
なんてひとり呟けば、パライズはフンとちょっとお怒りだ。
「師匠は心配で一応この魔法を使ったんだと思うのよ。四大元素魔法も使えるから、自分の身は自分で守れるんだけれどね。王族相手でもない限り」
私の言葉にちょっと呆れ気味の視線がパライズから向けられる。
「うん、パライズは王族でもやっちゃえばよかったのにって思ってるのね」
動物は人間より敏感だから、私の変化にもいち早く気づいているはず。
いつもより揺れが少ないように、急いでいるのに丁寧に足場を選んでパライズが移動していることに気づいていた。
「ありがとうね、パライズ。私と新しい子を気にかけてくれてるでしょう?やっぱりあなたは賢くていい子だわ」
私の声掛けに満足すると、パライズは道なき道の最短ルートをやはり揺れを抑えて駆けてくれるのだった。




