エピローグ
そうして、司祭様の到着前から何やら採寸されていたのは伯母様を巻き込んで結婚式の準備を始めていた殿下の采配だった。
それに関して伯母様も、噛んだ理由はこう。
「だって、ここからどんどんお腹が大きくなっちゃうのよ。子どもが生まれる前の今がチャンス。この時期なら、ふんわりしたドレスなら妊婦だってことも分からないわ」
という考えのもと、急ピッチで結婚式の準備がなされて大司祭様がお越しになった二日後には辺境伯領都の教会で結婚式を行っている。
ねぇ、早くない?
そんな準備万端で、花嫁の私が結婚式するって知ったの三日前よ?という突っ込みはごっくんと飲み込んでこの場におります。
現在教会の扉の前、花嫁の父は養子縁組した伯父様。
すでに、私のドレスを見ただけで号泣タイムに入っている。
「うぐぅぅぅ、ロッティ。綺麗だよぉ。こんなに可愛くきれいなのにもう花嫁って、感情の処理が追い付かない!」
と言いながら泣いております。
用意してもらったドレスは胸から下をふんわりと広げたプリンセスラインの可愛らしいドレス。
辺境伯領のお針子さん総動員で仕上げてくれたドレスには綺麗な刺繍が施されていて、銀糸の刺繍は光を受けてキラキラしている。
マリエラお姉様の得意のレース編みは綺麗にベールを縁取ってくれている。
みんなおめでとうと言いながら嬉しそうに準備してくれて、私も嬉しかった。
教会の扉が開き、伯父様と二人祭壇の前で待つトーラス様の元へ向かう。
ドレスは豪華でありながら、少しでも負担の無いようにと創意工夫が凝らされているので歩くのに苦労もなく無事に祭壇の前に辿り着いた。
伯父様からトーラス様に引き渡されて二人並んで祭壇の前に並び、大司祭様の言葉に答えていく。
「汝ら、互いに思いやり、慈しみ、悲しみも喜びも共に分かち合うことを誓いますか?」
先にトーラス様が答えた。
「誓います」
「誓います」
続いてすぐに私も答えたことで、司祭様を通して女神さまへの夫婦の宣誓となる。
「これにより、二人を夫婦と認める。女神さまのご加護がありますように」
その締めくくりと共にベールを上げてトーラス様との誓いのキスを交わす。
「一緒に、三人で幸せになろう」
そんな言葉と共に交わしたキスは、ふんわりと柔らかく、甘い。
「はい、旦那様」
こうして、虐げられていたがへこたれていなかった私が、想定外の事態に出奔したもののお腹の子共々大変想われていたので、結婚することになりました。
王族よりはマシとはいえ、今日から公爵夫人。
覚えることも多いと思うけれど、聖魔法の使い手としても国を守りつつこの辺境で穏やかに暮らせたらそれでいいかな。
それを望んだら、叶えてくれそうですもんね。
私の返事に抱え上げて喜んじゃうような、見た目は完璧王子の旦那様。
どうぞ、末永くよろしくお願いしますね!
秋の終わりに、私はその後しっかりと女の子を産んだ。
トーラス殿下にそっくりの金髪と琥珀の目の可愛らしい女の子。
その瞳からコーパルと名付けられた女の子は私と同じく聖魔法の使い手であり四大元素魔法も扱える秀才だったが、それはまたのお話に。
その後も男の子や女の子と三人ほど産んで、大家族だったけれど増えるたびに喜んでくれたしその子もみんないい子だったので我が家は大層安泰でしたとさ。
その中からナローズ家を継いでくれる子も出たので実家も安泰。
まさか、私たちの子から商人気質の子も出るとは思わなかったけれど、父の血が強かったのだろうと思うことにし父に預けた。
その道で十分力を発揮しレイストン王国の発展にも寄与した。
そんなこんなで、私の物語は一区切り。
なかったことにはならなかったので、遁走したけれど捕まったら幸せになれたので。
めでたし、めでたし。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
最近めっきり書いてなかったシークレットベビーのお話楽しく書かせていただきました。




