プロポーズの先に4
臣籍降下してヴィンスレット辺境伯領に住む、そのため現在トーラス殿下と私が住むためのお屋敷を急ピッチで建築中だという。
外交でくるお客様をもてなすためのサロンやら広間やらに、居住区画と使用人のための部屋ということでそこそこの広さが必要なうえに公爵の爵位に合うお屋敷の建設となると一年がかりなのでは?と思うがここは魔法があるので建築にも魔法が多用される。
建築系の土魔法属性の魔法師と建築士をフル稼働して、お屋敷は既に八割完成しあとは内装や家具の配置を残すのみだというのが驚き。
そんなに早くできる物?という疑問に対し、レイゼルがこっそり教えてくれた。
「ロッティ姉様がここを経由して隣国にいったのは早い段階で把握していたからね。殿下にとっての姉様との住まいの候補はヴィンスレット辺境伯領一択だったから、迎えに行くのは間違いないから同時進行でお屋敷の建設も始まっていたよ。姉様の遁走から一月経たないうちに」
という殿下の即断即決の素早い行動力のなせる業だったことが判明した。
「辺境伯の領主邸の近くに建てても良いと許可を頂けたからね、そこも大きくてすぐに取り掛かってしまったよ」
などとにこやかに言いますが、立てている現場がサロンから見える時点でほぼ敷地内ですよね?
辺境伯邸は辺境の要なので屋敷が大きく敷地も広大なので確かにもう二つくらいお屋敷レベルの建物は立ちますが。
いいの?ここに公爵邸を建ててしまって?という疑問は拭えない。
「国王陛下から、クーロン皇国や周辺国との外交の要にトーラスが入るのでヴィンスレットに邸を用意したいと言われたらね。土地的に空いていて建てられそうなのはここくらいだよ」
伯父様は笑っているが、陛下もなかなかに強いことを。
末っ子って可愛いものだというし、王太子様も王妃様も第二王子殿下もトーラス様を可愛がっていたのは有名だもの。
そこに関して思い出すと、嫁ぐのが私で本当にいいのか?という疑問がもたげてくる。
「トーラス殿下の粘り勝ちかしらねぇ。ロッティもわりと決めると曲げない子なんだけれど、ここに殿下と一緒に来たということは、殿下に嫁ぐことを良しとしたということでしょうから」
伯母様の言葉に、たしかにそれはそうと内心で頷いている。
殿下と私の瞳の石をあしらった指輪を受け取った時にはすでに決まったではないか。
お腹の子と殿下と共にある生活を望んでも良いのではないかと。
だって、逃げたはずの私を諦めずに追いかけて来たのだもの。
そこまでじゃないと腹がくくれなかった私も、かなりのものかもしれないけれど……。
「ずっと私の片想いですからね。これからゆっくり一緒に暮らして一でも返ってきたら私はそれで充分です」
そんなことを言い切る残念さがあっても、やっぱり美形は美形だった。
媚薬に流されても、受け入れちゃうくらいには私も少なからず殿下をいいなと思っていたのはもうしばらく内緒にしておこうと思う。
いろいろ殿下が突っ走りそうなので。




