プロポーズの先に2
そうして乗り心地抜群の馬車で、一時間移動すれば国境の門に辿り着きトーラス殿下が顔を見せれば高位貴族専用門は待たずに通過。
さらにそこから一時間ほど馬車に揺られれば、あらあっという間に辺境伯領主邸に到着ですよ。
私の出奔時の苦労とは、くらいの快適馬車の旅でした。
この移動にはもちろんパライズも連れて来た。
お世話してくれる人の居ないところに置いて来れないもの。
でも、乗せたのはしぶしぶでレイゼルだった。
一応顔見知りで私以外でギリギリ許せると言ったところだったらしい。
乗せてはいるが、終始ご不満の様子だったとレイゼルは苦笑していた。
馬車から降りて、私は真っ先に相棒でもあるパライズの元へ。
「パライズ、いい子ね。レイゼルは元々のおうちの子なんだから乗せてあげてよ。乗り手が居ないと国境を越えられないんだから。あの家は素敵だけれど、あそこに置いていかれたらいやだったでしょう?」
そんな私の問いかけに、ブルルと同意と不服を同じくらい訴えているパライズに苦笑いだ。
「もう少しすれば私もさすがにお腹の子が大きくなってちょっとの間乗れなくなっちゃうじゃない?その時に気晴らしに連れて行ってくれる人をきちんと決めておかないと。あなたが辛くなるのよ、パライズ」
私の声をきちんと聞き届けると、仕方ないとブルと鳴いて瞳で分かったというのを伝えてくれるパライズ。
やっぱり私の相棒は可愛くて賢い、素晴らしい馬である。
「ありがとう、パライズなら分かってくれると思っていたわ」
にこにこと笑顔でその顔から鬣までを撫でてやると嬉しそう。
そんな一人と一頭のやり取りを見守る面々の胸中は……。
『殿下、相棒が強力なので頑張って』であった。
辺境伯領主邸に辿り着くと、伯父様と伯母様にマリエラお姉様も出迎えてくれる。
「殿下、ようこそお越しくださいました。護衛騎士の皆様も、ゆっくりとお休みください。レイゼル、お疲れ様」
伯父様は皆を労いつつも、自分の息子であるレイゼルも労った。
体力お化けみたいなところのある、ほぼ騎士なレイゼルが疲れを隠せていないのだからほかの皆さんも似たり寄ったりよね。
昨日家で休ませて良かったわ。
ちなみに騎士たちは、村の集会所で雑魚寝でお休みしていたが村人たちの温かな歓待とご飯のおかげで大変ゆっくりできましたと感謝していた。
そうね、ほぼほぼ休みなしでしたものね。
トップが休まなきゃ休めないものね、大変だわ。
「とりあえず、シャルロッテは殿下と、まとまったってことでいいのかな?」
家族用サロンに移っての一言がそれだった。
ここまで全く離れずにエスコートし、私を先に座らせるほどの徹底ぶりの殿下を目にしての一言だった。
まぁ、そうとしか見えないよね。
私も、腹をくくるしかないかと思っているところです。指輪を受け取った時からね。




