プロポーズの先に
私はお腹の子がトーラス様の子であることがバレていること、それでも再会当日は話だけで本当に無理に連れ帰ろうとしなかったこと。
そして、何よりすでに居心地のいいこの家を殿下もなぜか気に入ってしまったこと。
そんなこんなで、なんとクーロン皇国でのお忍びの住まいとして皇太子さまからここにある程度住んでも良いという許可をもぎ取って、この家に帰還したのは私に再会から三日後のことだった。
ここから皇都までは一日かかるので、本当に居住許可もぎ取ってその後そのままその日休んですぐ翌日にはここに戻ってきた計算だ。
強行軍過ぎない?
殿下はすっきりって顔をしているけれど、体力自慢のはずのレイゼルがげんなりと疲れた顔をしているもの。
「とっても早くありませんか?皇都までは一日かかると村人から聞いています。用事を済ませたにしても、他にもいろいろあるだろうから一週間ほどでお戻りになるとばかり」
それは本当に正直に思っていた。
だから三日で戻って来たのに驚いているのだ。
「あぁ、ここの居住権が確保できたことを早く伝えたくて。マクレガー伯爵令嬢も連絡すると結婚祝いとしてこの家は私とシャルロッテに譲ってくれるそうだ」
皇都に行って皇太子さまとこの土地の居住権に関しての取引のみならず、上物であるこの一軒家の持ち主のクリスティアにまで、すでに連絡済みの譲渡契約済みと。
学園に居る頃から要領がよく仕事の早い人だとは思っていたけれど。
ここまで早いなんて聞いてないわ。
『ロッティ姉様、早くこの人止めてくれないと僕らが過労死しちゃうよ』という心の声が、必死の心の声が聴こえて来た、主にレイゼルその他の騎士たちの表情から。
たとえようもないほどにヒシヒシと、切実なる心の声が!
「とりあえず、騎士様方は本日村にてお休みいただき、殿下はこちらに滞在してください。明日、辺境伯領都の辺境伯邸へ行きましょう。一緒に」
この一言が効いたらしく殿下は大変喜んでこの小さな一軒家で一緒に料理をし、ご飯を食べて狭いものの同じベッドで寝た。
文字通り寝るだけだったが、こんなに狭い作りであるというのにやはり大層喜んで一緒に寝た。
翌朝、トーラス殿下は二割増しでキラキラしていた。
眩しすぎる、となったのは言うまでもない。
今回の移動に際してしっかり持っていきたいものを厳選していたが、持ち込み用の荷馬車まで準備してくれたので何も問題なく辺境伯領都のヴィンスレット辺境伯邸に移動することが出来た。
しかも、お忍び用なのに中が豪華仕様で乗り心地抜群の王家のお忍び馬車が用意されていたので妊婦の移動にも大変優しい移動となりました。
こんな馬車乗ったことなくて恐れ多かったなぁ。
外がシンプルすぎて中の豪華仕様とのギャップがすごかった。




