再会は唐突に5
「この子も学園を卒業したことは分かっていたが、そこから近い王宮魔術師団まで行ってもシャルロッテを見つけられず、肩を落としてしょんぼりしているのをよく見かけた」
あらまぁ、この子の行動範囲の広いこと。
そして私の就職先まで理解していたのねぇ。
たしかに、お隣にある魔術師団でもう少ししたら働くのよなんて話していたっけ。
「ここまでの足取りも、なんとか掴んでいたしクーロン皇国の皇太子とは留学期間で仲良くなっていたから協力してもらった」
まさか、クーロン皇国までしっかりとしたコネクションをお持ちでしたか。
確かにクーロン皇国の皇太子殿下が留学してきたときは学園に在学中のトーラス殿下がお相手していたわね。
同じ国を治める一族同士ということや、話してみると馬が合ったのだろう。
よく一緒にいる姿を見かけた気がする。
私はクラスも身分も差があるので見かけるだけだったが。
件の事件の犯人の公爵令嬢はよくまとわりついていたっけなぁと、そんなことまで思い出した。
「辺境の村に若いけれど腕のいい薬師が住みついて住人に良くしているというのはクーロンの皇都にまでしっかり報告が来ていた。それで位置的にヴィンスレット辺境伯領から近いことでここに来ていると気づいたが、一か月前のクーロン皇国との交流で来たときはすれ違ったようで会えなかった」
一か月前、それは診療所へ行った日である。
確かにほぼ一日留守にしていたの出会うことが無かったのだろう。
良いのか悪いのか、程よくすれ違い。
ずっとでも良かったのだが……。
探している方は権力の中枢にいるからね、探すのに不便はないよね。
そんなわけで逃亡四か月にして、発見されることになったと。
見つかったらもう無理だろうなぁという想いはあるけれど。
バレなければという思惑まではまだ捨てきれない。
しかし、そこにズバッと一言が投げ込まれる。
「足取りを追ったと言っただろう?先月のすれ違った際の行先も把握している。お腹の子は私とシャルロッテの子なのだろう?」
あぁぁぁぁぁぁぁ、バレてるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!
表情にこそ出さないものの、内心滂沱である。
「公表されていないが王族には我が子が出来るとその血に流れる魔力で把握できるという物があって。ここに来て初めにすでにお腹の子のことは把握していた。それでも今日は連れ帰らない約束だ。シャルロッテにもいろいろとあるだろうし、ここで準備した物だって持っていきたいだろう?」
それはそう、楽しみにコツコツと作り続けた手作り家具やら衣服やら、そこに舞い込むプレゼントに玩具たち。
最初に来た時よりもこの家はだいぶ賑やかになっているくらい。
可愛らしく温かみのあるものをと思いを込めて作った物たちばかりだから。
「それはもちろん。ですが、本当に私と結婚するのですか?」
思わず尋ねたところ大いに頷き、おおらかに笑って一言。
「私の好きな人、いや。愛しているのはシャルロッテだから。責任だけでなく、あなたと共に生きていきたいから。今回のことが無くても、子どもができていなくても、同じく結婚してほしいと私はあなたに跪いていただろう」
実際に跪いて、そして差し出されたのは紺碧のサファイアとトパーズの並んだリング。
私の琥珀に近い瞳の色のイエロートパーズと仲良く殿下の紺碧のサファイアが並んでいるリングは太さ違いでお揃いになっている。
石は色がはっきりしているものの、大きさはさりげないほどの小粒で付けるのに不安にならない位のものだった。




