再会は唐突に3
ドアを開けて、互いに久しぶりに顔を合わせた。
殿下はすこしほっそりした様に見えるが、相変わらずの金髪と碧眼の美男子なので正面から見続けるのは正直大変だ。
なんで王族や高位貴族の方々って顔面偏差値が高いのだろう?
遠目に距離をもって見る分には目の保養なのだが、一対一で向き合うのは正直平凡ですみません!と謝りたくなるほどに美の差が激しいと思う。
ほんと、私はどこにでもいる亜麻色の髪に琥珀の目のあまり目立たない色の持ち主なので……。
「元気そうでよかった、ナローズ子爵令嬢。卒業の仮面舞踏会では事件で迷惑をかけた。しかし、媚薬を使われたとて好きでもない相手とことに及ぶくらいの人物だとされたのは正直へこんだ」
トーラス殿下は最初に謝ったうえで、フランクなままに語りだしたがこれはどこへ向かうのだろうと思いつつも最後まで聞きましょうかと次の言葉を待つ。
「あのあと目覚めたときに愛しているから結婚しよう。順番を間違えて済まなかったというつもりだった」
トーラス殿下からの言葉に私は目を見開き、そして驚いたままに動けなくなり声も出ない。
こんな平凡が服着て歩いている容姿の私のどこをお気に召したのか、私には理解が出来なかったからだ。
トーラス殿下みたいな容姿端麗でもなく、文武両道でもなく、お勉強は出来るし魔術特化はしているけれど、子爵家は爵位としては高くないし、父の商会は成功しているもの私は聖魔法の使い手くらいしか特記事項は無い。
普通の子爵家の娘なので、婿を取るかどこかしらに嫁ぐかの二択だと思っていたし。
今回の事件で、一生独身になろうと思っていたくらいには結婚に夢なんて見ないリアリスト的なところのある私。
「一体、私のなにが?そこまでいいところも、特化すべきところも無く容姿は平凡なのですが?」
思わず自分のことなのに敬語になるくらいには、なぜ?となっている。
私の言葉にトーラス殿下は、そんなことは無いと力強く答えて教えてくれた。
「入学当初から、王族ゆえに周囲は折に触れ敬い、なにか粗相があってはと恐れながらもそれでも近寄って来るものが後を絶たず、婚約者も居ない私はさらに令嬢たちに取り囲まれることも多かった」
たしかに、そんな光景をよく見たわねと入学当初のころを思い出す。
「正直、自ら寄ってくるタイプの人物は安心できないと幼いころからの様々な出来事で学んでいた俺には寄って来る同じ学園の貴族子女は婚約者にしたくなかった」
それならかの事件を起こした公爵令嬢が婚約者候補になっていたのはただただ公爵家というだけのことというのだろうか?
爵位がものをいう貴族社会ならではなだぁと、自分はあまり影響が無かったゆえに思う。
「そんな時、裏庭で休んでいた俺のところに来ようとした公爵令嬢に同じく裏庭に居たナローズ嬢が言ったんだ。殿下は先ほど中に戻りましたよ?とそれでその日の昼はゆっくり過ごせた。その後あなたは何も言わずに立ち去ったな。俺も声をかけそびれた」
あぁ、毎日追われてるのを見て可哀想だと思ったのよね勝手ながら。だって、猫や犬を可愛がりたい自分の好きなようにというような感じで人に迫っているのを見たら違うだろう?ってなるじゃない。
少しくらい嘘ついたってバチは当たらないし。
そんな気持ちで、ちょっと追っ払ってあげたのよね。
「嬉しかった。困っていることに気づいてそれで矛先をそらしてくれたこと。それを感謝も伝えないままだった俺でも気にせずにいたことが驚きだった。そこからナローズ嬢をよく目で追うようになった」
うん、話だけ聞けば甘酸っぱい初恋なんだが、本当なの?!




