隣国での、生活の始まり2
そんな風に魔法を駆使して、生活しながら薬師としてこまごまと薬を作っては村人に渡し、その代わりに作物や卵をもらって過ごし、たまに小川で小魚も釣って食べたりと。
たいへん、スローライフを満喫しているうちに三か月が経ち、季節は夏に移り変わり、私のお腹も膨らんできて村人たちは私が妊婦であることに気づくも誰も、なにか言ってくることは無く赤ちゃんなんて久しぶりだと私と同じくらい誕生を楽しみにしてくれている。
大変ありがたい、やはりこの村良いところだわ。
「さて、今日は暑いから作業はこのくらいにして夕方にまた水まきしましょうか。パライズも涼しいところで過ごしてね。お水は補充しておくし、なんなら小川に飲みに行ってね」
私の声掛けにパライズはブルルと頷くと小川に向かって行った。
水を飲みに行った様子。
私はうちの窓を開けて風通りを良くして、室内であと五か月もすれば産まれてくるこのために服を作ったり、布団を用意したりしている。
材料は何とクリスティアから届いた。
なんでも、この村の一部の住人とはやり取りがあるらしくそこからの連絡で妊娠がバレてしまった。
事件が事件だっただけに、お相手もばっちり把握しているクリスティアはクーロンに逃がしていてよかったと言いながら、様々な支援をしてくれている。
妊婦なら、栄養付けないととクリスティア経由でマノンからもたくさんの野菜や穀物、芋類が届く。
「友人が助けてくれるおかげであなた、ここまで大きくなってるのよ。有難いわね」
膨らんできたお腹を撫でながら声を掛ければ最近ようやくポコとお腹の中での動く我が子が分かるようになってきた。
村にいる経験豊富なおば様方が、お産の時には助けてやると既に着々と準備してくれている。
産着も、肌着も熟練の母たちの技で量産されたので、私はおくるみやその後に着るだろう大き目の衣類作成に取り掛かっている。
そしてクリスティアから、こっそり妊娠を告げられたヴィンスレット家も心配しつつも支援品が届くようになった。
そこには可愛らしい衣類やすでにおもちゃまで届き始めていて気が早いなと笑いが漏れた。
「ほら、今日もまたマノンから美味しいチーズが届いたわよ。今日はピザでも作ろうかしらね」
私の家の中での独り言にも最近はポコポコと返事をくれるので大変楽しくなってきた。
一人だけれど一人ではない、この感覚は妊婦になってみないと分からないだろうな。
「きっと、お母様も私がお腹に居たときは楽しみで仕方なかったでしょうね。今もいらっしゃればあなたが産まれるのを私の心配をしつつ楽しみにしてくれたでしょうに。それだけは残念ね」
私の少し沈んだ声に、それでも力強くポコっと返事くれる我が子。
「あぁ、本当に私は恵まれているわ。あなたが元気に大きくなっている、なにより喜ばしいことよね」
そうして、私は今日も自分で作ったご飯を食べて、畑や赤ちゃん製品を作りつつ、調薬もして過ごす。
あの家では得られなかった穏やかな日々を過ごしているのだった。




