隣国への脱出1
移動の最中に私はクリスティアに用意してもらった物件を1ヶ月そのままにして欲しいと連絡した。
カモフラージュの物件として残しておいて欲しいこと、行方をくらませる為にも隣国へ移住することを伝えるとそれを予期していたのか国境沿いの小さな村に小さな一軒家も用意していると連絡が返ってきた。
まさかそこまでしていると思っていなくて私は驚いたが、ありがたく受けることにした。
【隣国に行くの迄予測されてたとは思わなかったわ。でも助かった。ありがとう、クリスティア。離れても私たち友達よ】
そんな返事を送ればクリスティアからもすぐに返事が届いた。
【当たり前よ、今後は魔法は干渉されそうだから鷹で手紙を送るわ。辺境伯にもこちらから転送してあげるから、それでやり取りしましょう。私とマノンはどこまでもあなたの味方】
本当に私の友達は優秀で先を見通すことの出来る素晴らしい人である。
きっと、第三王子からの追求はあるだろうがクリスティアなら難なく躱してしまうだろう。
社交界の新世代の一角を担っているのだから、社交界での処世術は第三王子より上手だと思う。
なにせ、今の社交界を牛耳る公爵夫人も一目置いてるのだもの。
ここで頼ってしまうのが申し訳ないけれど、クリスティアはそんな事気にさせないほどアッサリと私の行動を読んで先回りしてくれた。
場所についても書き記されていたので、それを頼りに国境を超えてクーロン皇国の小さな村を目指した。
パライズに乗り30分くらいで目的の村に辿り着いた。
クーロン皇国とは和平が続いているので、特に問題なく村の小さな一軒家へと入る。
私が開発していた転移陣でこの家の鍵もしっかり私に送り届けてくれたクリスティアにはやはり、足を向けて寝られないほどの感謝を感じている。
「クリスティア、有能過ぎよね。これだけ動ける人は中々いないわ。令嬢だから王宮務めはしないけれど勿体ないわよね。書記官としてやってけそうなのに」
私の言葉にはブルルと同意を示すパライズしか居ないが、クリスティアに会った事のあるパライズは私の意見と同じらしい。
「そうよね。だってクリスティアは綺麗だし、仕事も出来るし、伯爵令嬢だもの。まだ婚約者は居ないけれどきっといい人が現れるわね」
そんな私の話を聞いてパライズはブルと嘶くと私にもいいことはあるよとでも言うように鼻先でツンと優しく触れて来た。
小さな一軒家の隣にはきちんと小さめでも厩舎もあり、パライズのお部屋もある。
「良かったね、パライズの部屋もしっかりある。さすがはクリスティアよね」
そんな会話をしつつ、私はしっかりと一軒家の中に空間収納の魔法でしまっていた家具や食器に衣類まで収納をはじめ生活を整え始めるのだった。




