領主館にて4
そんな形で辺境伯家でお話をして、私は伯父様と伯母様に切り出した。
「それで養子になるのもご迷惑になるし、辺境伯領のマクレガー領に近いところで暮らしたいなと思って。四大元素魔法も使えるし、魔法薬と薬草学も出来るからそちらで薬師として暮らしたいなって思ってるの」
私の発言には伯父様と伯母様にマリエラも頭を抱えた。
いつの時代も聖魔法の使い手は王宮勤めからの王族との婚姻が王道の流れでたまに歳が合わずとも、高位貴族の公爵家や侯爵家に嫁ぐのが女性の聖魔法の使い手の一般的な流れだから。
「それがとても難しいことは理解してるのよね?」
伯母様の一言には頷いて同意を示しつつ、私は言った。
「今までの聖魔法の使い手の女性たちは選ぶ権利すら与えられてなかったと思わない?聖魔法の使い手だとしても、一個人の自由な権利が無いってそもそもおかしいのよ。結婚相手くらい自分で決めてしかるべきだと思うし、その自由がないなら国すら出ると私は考えてる。それでも魔法学園にお世話になったから、その御恩を返せるギリギリ国内で暮らす妥協点がこの選択なのよ」
そもそも国から出したくない稀な聖魔法の使い手を結婚という逃げ場のない形で囲おうとする形を良しとしたのが、よろしくないのよね。
聖魔法が使える女性への配慮は皆無ではないかしら?
結婚なんて人生の大きな選択肢を決める権利がないなんておかしなこととなぜ気付かないのかしら?
一個人を尊重しないで、その人が国にその稀なる力で応えてくれると思うのもおかしな事だと思うし。
父と母は幼なじみで仲も良く、母の早世は父には残念だったと思う。
一応恋愛結婚だった人なので私に政略結婚を強要することはないと思うが、商売人の思考に支配されたらどうなるか分からないと思うと父に結婚を決められるのも嫌で王都脱出したとも言える。
家族だけど関わりが薄いからその辺の信用もできないのよね、残念ながら。
そしてなにより、今も育っている途中のお腹の子は第三王子の子である。
それを盾に王族と結婚させられるのは絶対に嫌だ。
媚薬による過ちの一夜で出来た子だからこそ、枷とされるのは嫌だし、王子が望んだ子では無いことは明らかだ。
それでも、私に宿った命を無下には出来ない。
私が一人でも、しっかりと育ててみせるという意気込みは消えない。
だって私はここに来てようやく自分の家族が出来る事が嬉しかったのだ。
お腹の子は間違いなく私の子で私の家族、慈しみ愛おしんで暮らしていける相手が出来たのだ。
相手が第三王子というのが悩みのタネではあるけれど、子どもが出来たことは嬉しかった。
だから、私は取り上げられることも結婚を強要されることも恐れて逃げたとも言える。
王族として子を産んだら自分で育てられないもの。
私は自分の手できちんと親子として暮らしたいのだ。




