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仮面舞踏会での過ち~なかったことにはならなかったのでしっかり遁走致します~  作者: 織原深雪


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領主館にて3

「だから、魔術師団に入っても王都に居る限り義母と義妹に搾取され続ける人生だなと気づいたら、よし今が離脱のチャンスと思って出奔してしまったのよ」

 何もこの理由も間違っていない。

 本来、自身の働きの給金は自身に入るべきなのだが、義母が父に言わずにナローズ家に入るように手続きするとあら不思議、家に給金が一部支給されちゃうのよ。

 王宮勤めの中には家への仕送りをする者もいるので、自動的に金額を決めて送金する手続きが取れる。

 しかし、本来本人のサインが必要なそれを偽造で手続きされたのが卒業式の二日前に発覚。

 エイネイ様は苦笑して止めておいたと報告してくれたが、もうやってられないと家族を見限るには良い材料となった出来事だった。

 この事件について話すと、ライラ伯母様が笑顔でキレた。

「もう、グローレルに有無を言わせずロッティはうちの養女にしたほうが良いのではないかしらね?」

 伯母様の言葉に伯父様もさすがにこの件を聞くと、同意してしまった。

「そもそも、国が囲いたいほどの稀なる聖魔法の使い手をここまで大切にしないって言うのがすごいよね。だって、本来このまま王宮魔術師団に入れば間違いなく十年後には最年少で師団長になれる実力があるのに」

 マリエラお姉様の言葉は大げさだけれど、私が入団して五年以内には副師団長が引退するのでそこを引き継ぐことになるとは言われていた。

 そうした未来を見越して実技から実務のことまで学園在学中から引き継ぎを始めていたところだった。

 それを無下にしてしまったのは申し訳ないとは思う。

 聖魔法の使い手は現在魔術師団の副師団長のエイネイ様、王太合様である現国王の母セリア様と私の三人だ。

 ようやく六十年ぶりに現れた聖魔法の使い手なので、魔法学園に入る頃から国王陛下と謁見したり、早々に王宮魔術師団からスカウトにエイネイ様が来たりと周りは騒がしかった。

 そんな状況でも、我が家の義母と義妹は私を落とし、扱いはぞんざいで大したことないと本当に思っていたらしい。

 問題行動の多い二人だから、付き合いも限られていて誰も私の立場が結構国に重要であることを教えてあげなかったらしい。

「王太合様も伯爵家の出身だったけれど、王様に嫁ぐくらいだったのだから。王太合様より魔力量も多くて実技も満点と言われるロッティが、王族に嫁ぐことも出来るはずなのよ?」

 その話はサクッとお断りしたけれどね。

 王太子様は結婚間近の婚約者様がいたし、第二王子も婚約者が居るし、だから第三王子とという話が出たが子爵家だからと断っている。

 身分が釣り合わないし、聖魔法の使い手として囲い込まれるのもあまり好きではなかったから。

 必要なら、力は惜しまないけれど私は今みたいに自分の元に来る野生の動物たちだって癒してあげたいから。

 王宮に居る妃になりたいとは思わなかった。


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