辺境領への遁走5
翌朝、小さく煮炊きをし朝ごはんも夜と同じ内容で食べ終わると早々に片づけをしテントもしまいあと半日ほどで辺境伯領に辿り着くのでここからはすこしのんびり移動しようと思う。
さすがに三日でここまで移動していることは把握されていないだろうし、一応伯父様のところに顔を出したらマクレガー領の方に移動してそこで薬師になろうと思っている。
魔法学園で習ったもので、魔法以外だと薬学が一番楽しかったし魔法薬まで作れるようになっているのできっと薬師でもやっていけるのだ。
聖魔法は使うと目立つのでよっぽどでない限り使用することは控えようと思う。
風魔法と水魔法を使いながらの薬師は多いので、それで生活を成り立たせるつもりだ。
やはり学びは大切で、使える武器は多いに越したことはないと実感する。
旅の経験値もあったからこそ、三日で王都から辺境伯領への移動を成し遂げている。
「私ってそこそこいろいろ出来るはずなのよね。やってやれないことは無いわ。きっとこの子が生まれても大丈夫ね」
私の呟きはパライズしか聞こえないけれど、パライズは僕も居るから大丈夫というように、私に鼻先を出してくる。
「もちろん、パライズも居てくれるもの。大丈夫よね」
そうして周辺の薬草を摘んだら辺境伯領に向かって移動開始。
あれこれ立ち寄って薬草採取していたにもかかわらず、昼前には辺境伯領都ベノルマに到着していた。
私が辺境伯領主館に唐突に訪れるのはいつものことなので、門番さんは私の顔をよく覚えている。
現領主の妹だったお母様そっくりの栗色の髪に琥珀の瞳の私は、皆さんの記憶に残る母と瓜二つなのだそう。
今回も領主館の前に辿り着くと門番さんがすぐさま対応してくれる。
「おやまぁ、シャルロッテ様。無事に卒業なさいましたね。おめでとうございます。いま、コールエル様にお伝えに行きましたから、まずはパライズをお預かりしましょうね」
門番の言葉にありがとうと伝えて、パライズを預ける。
「パライズ、落ち着いたら後で厩舎に行くからしっかり休んでね」
言葉を掛けつつ、手を添えてこっそり回復魔法をかけておく。
なにせ伯父を頼ろうと思ったが今回の一件レイゼルから伯父様にすでに報告が入っている場合ここにいると殿下に居場所がバレてしまう。
それに途中で気づいた私は、すでに魔法でクリスティアに伝えてマクレガー領の端に一件の物件を確保してもらっていたりする。
やはり持つべきものは仕事のできる友達である。
伝達に驚いたのだろう、辺境伯であるコールエル伯父様とライラ伯母様に従姉妹のマリエラお姉様が領主館の玄関に勢ぞろいしていた。
「まぁ、運よく伯父様たちが揃っていて良かったわ。ごきげんよう伯父様、伯母様、マリエラお姉様」
私が挨拶すると、伯父様はにこやかに出迎えてくれた。
「卒業おめでとう、ロッティ。しかし、レイゼルからロッティが魔術師団を辞退して行方不明の連絡が来たからこちらも捜索隊を出すところだったんだよ」
という、ある意味予測していた事態に出くわすことになった。




