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プロローグ
世界はいつ始まったのか
過去はなぜ戻ってこないのか
運命は存在するのか
世界の外には何があるのか
悠久の刻を過ごしたところで、
知ることはできなかった。
過去は遺物を遺しても、記憶は遺さない。
思考はいつも諦念で終わり、現実に引き戻される。
そうして男は本を開き、ペンを持つ。
全てを記録し、物語の続きを綴る。
何も変わらない。何の意味もない。
これからもそうだろう。
それでも、男は本を開く。世界を記録する。
空は光を呑み込んでいく。
闇が世界を見下ろし続ける。
また朝が訪れる。
今が進み続ける。
この限り無く小さな世界で、
男は生き続けていく。