第2話「再会と、秘密の診察室」
■Scene:かつて母が通った病院へ
玲奈が訪れたのは、下町にある静かな産婦人科。
看板の色あせた文字を見上げながら、彼女はマスクを深くかけて院内へ足を踏み入れる。
受付には年配の看護師が座っており、予約名簿に玲奈の名前を見て目を見開く。
看護師:「もしかして……あの、“綾瀬玲奈”さん?」
玲奈:「すみません、マネージャーに名前伏せてって言ってたんですけど……」
看護師:「い、いえっ……個人情報は守りますので……!」
顔を真っ赤にしながら慌てる看護師。
その奥から、白衣を着たひとりの医師が現れた。
医師:「久しぶりだね。……もしかして、綾瀬玲奈ちゃん?」
玲奈:「……先生、私のこと、覚えてるんですか?」
医師:「もちろん。君のお母さんがここに通っていた頃、小学生だった君が何度か一緒に来てた。今じゃ立派な女優さんだね」
玲奈は小さく頷いた。
玲奈:「……今日は、ちょっとだけ、相談したくて来ました」
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■Scene:秘密の告白と、理解の言葉
個室の診察室に通され、玲奈は静かにすべてを語った。
・結婚しているが、まだ公表していないこと。
・夫は一般人であり、年齢差や芸能界への影響もあるため、極秘にしていること。
・そして――いま、お腹に新しい命がいること。
医師はすべてを静かに聞いていた。
医師:「……それだけ覚悟を持って、生きてるんだね。芸能人ってだけじゃなく、ちゃんと母親になる準備ができてるんだ」
その言葉に、玲奈の目が少し潤む。
医師:「さあ、確認してみようか。超音波検査、やってみよう」
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■Scene:小さな命との対面
診察台に仰向けになり、お腹にジェルを塗られる。
玲奈は心臓の鼓動が速くなっていくのを感じながら、画面をじっと見つめた。
モニターに映ったのは――
医師:「……うん、はっきり見えるよ。赤ちゃんが、ちゃんとここにいる」
玲奈:「……!」
医師:「しかも……双子だね。ひとりは男の子、もうひとりは女の子。元気そうだよ」
玲奈:「……っ!」
言葉にならない感情が胸に押し寄せる。
両手を口元に当てて涙を堪える玲奈に、医師が優しく微笑んだ。
医師:「大丈夫。君なら、きっと乗り越えられる。……ふたりの命を、きっと守っていけるよ」
⸻
■Scene:もうひとつの秘密の守人
診察を終えた玲奈が廊下を歩いていると、看護師のひとりがそっと声をかけてきた。
若い女性看護師:「あの……突然すみません。私、玲奈さんの大ファンなんです」
玲奈:「……え?」
看護師:「中学の時からずっと応援してました。でも、いまの話……聞いてしまいました。悔しい気持ちも、ありますけど……それ以上に、応援したいんです。だから、誰にも言いません。……本当に、おめでとうございます」
玲奈は、涙を堪えながらも、しっかりと彼女の手を握った。
玲奈:「ありがとう……あなたの言葉が、今の私にすごく効いた」
⸻
■Scene:夜の玄関先、待つ人の腕の中へ
その夜。
病院から帰宅した玲奈は、自宅のマンションに着いた瞬間――
エントランスで、悠人が立って待っていた。
悠人:「……おかえり」
玲奈:「……ただいま」
その一言だけで、もう胸がいっぱいになる。
玲奈は鞄を置き、まっすぐ彼に歩み寄ると――
悠人:「……言葉、いらないよ。全部、聞きたいことは目を見ればわかる」
そのまま、彼は玲奈の唇にそっとキスを落とした。
優しくて、あたたかくて――そして、深い決意が込められていた。
玲奈:「……双子だった。男の子と、女の子……!」
悠人:「……ありがとう。ふたりとも、玲奈さんに似て、きっと美しい子になる」
玲奈:「……でも中身は、あなたみたいに真っ直ぐな人に育ってほしいな」
リビングの明かりが、ふたりの影を静かに包み込む。
そして、今――新しい“家族の物語”が、確かに始まった。
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