表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

92/107

第5話「夫婦という名のプロフェッショナル」


カメラの前では、母と子。

カメラの外では、誰にも言えない夫婦。

――それでも、ふたりは“最高の共演者”でありたかった。



■Scene:母親役としての玲奈、リハーサル開始


悠人が監督する映画『透明な骨』に、玲奈が“友情出演”としてワンシーンだけ加わることになった。


役どころは、主人公(柚季)の“回想の中の母親”。


若くして家族を手放さざるを得なかった女性。

一瞬のぬくもりを与える、わずか30秒の登場。


監督である悠人は、モニター越しに玲奈を見つめながら、撮影前に一言だけ伝えた。


「……心で泣いて、顔で微笑んで。

それが、この母親が子に遺した“最期の愛”だから」


玲奈はうなずいた。

その瞳に、女優としての鋭さと、妻としての優しさが同居していた。



■Scene:テイクワン、本番――


セットの中、古い団地のキッチン。


柚季(主人公)は8歳の少女役に戻り、母・玲奈が彼女の肩に手を添える。


玲奈:「……あなたは、絶対、幸せになれる子よ。だから、大丈夫。

ママは、ここにいるから」


その言葉を残し、母親は背中を向ける。


カメラが止まった瞬間、スタッフからため息と拍手が漏れる。


「……泣けた……」

「今のワンカットで十分だ……」


悠人も、モニターの前でしばらく動けずにいた。


(……ありがとう。玲奈さん)



■Scene:休憩時間、現場の片隅にて


その後――スタッフが昼食に移り、現場が少し落ち着いたタイミング。


玲奈が台本を抱えて廊下を歩いていたとき。


背後から、そっと、誰かの“服の袖”を掴む手があった。


玲奈:「えっ……悠人くん?」


振り返る間もなく、その手に導かれ、ふたりは物置代わりの控室へ。


カチャ、と鍵が閉められる音。


玲奈:「ちょっと、何……?」


次の瞬間――悠人は壁際に玲奈を静かに押し当て、目を伏せたまま小さく言う。


悠人:「……撮影中、ずっと我慢してた。

どれだけ“母親の表情”でいても、俺には“玲奈さん”にしか見えなかった」


玲奈の頬がほんのり赤くなり、目を潤ませた。


悠人:「……好きだよ、玲奈さん」


そのまま、唇が重なる。

ひとつのキス。

そして、もうひとつ。

奥深く、甘く、優しく――ふたりだけの“確認”。


玲奈:「……バカ。でも、嬉しい……」



■Scene:夜、自宅の湯船の中で


帰宅後の風呂場。

ふたりは湯船にゆったりと浸かっていた。


玲奈は少し髪を結い上げ、悠人の肩に背中を預けている。


玲奈:「……なんかね、久しぶりだった。あんなに“芝居”だけに集中したの」


悠人:「玲奈さんの芝居……本当に、やばかった。

正直、あの30秒だけで映画の“魂”が入ったと思ってる」


玲奈:「……嬉しい。ありがとう」


ふたりは目を合わせる。


そして、玲奈の白い肩にそっと手を添えた悠人が――


「……好きだよ、玲奈さん」


そう囁いた瞬間、玲奈は湯に揺れる水音の中で、

ゆっくりとキスを返した。


泡に沈むほど近づいた唇と唇。

すべてを忘れさせるような、深く長い口づけだった。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ