第3話「並んで歩く日常 ― 買い物デート編」
■Scene 1:静かな日曜日、玲奈からのメッセージ
日曜の朝。悠人のスマホに、玲奈からメッセージが届いた。
お昼からなら少し時間できた。
一緒に、買い物行かない?
悠人:「……マジか」
高校3年の秋。
受験勉強の合間に、ぽっかり空いた束の間の休日。
玲奈は連ドラの撮影の合間で、半日だけオフがとれたという。
待ち合わせは、渋谷から少し離れた小さなショッピングモール。
人混みを避けるため、変装はいつもより念入りに――
玲奈は、シンプルな黒のニット帽と眼鏡、オーバーサイズのパーカー姿。
玲奈:「……変じゃない?」
悠人:「いや、全然。むしろ、“隠してる感じ”が可愛い」
玲奈:「それ、褒めてるのよね?」
悠人:「もちろん」
玲奈はふっと笑った。
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■Scene 2:ふたりで歩くスーパー
ふたりが向かったのは、ショッピングモール内の生活雑貨売り場。
まずは玲奈の仕事用のノートと、台本に貼る付箋をまとめて購入。
そのあとは、日用品コーナー。
玲奈:「あ、これ前から気になってた洗剤」
悠人:「え、これ、CMでやってたやつ?」
玲奈:「そうそう。……って、私、そのCM出てるのよね」
悠人:「マジか!」
玲奈:「もう……ファン失格ね」
悠人:「いや、生活感ありすぎて逆にリアル」
玲奈:「生活感って……女優に言うセリフ?」
ふたりは笑いながら、カートに洗剤や柔軟剤を入れていく。
その光景は、まるで――結婚して数年のカップルのようだった。
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■Scene 3:レジで、思わぬドキドキ
レジに並ぶ列で、悠人が財布を出そうとしたとき――
玲奈がそっと小声で言った。
玲奈:「……ねえ、こうやって並んでると、ほんとに“ふつうの彼氏彼女”みたいよね」
悠人:「うん……ていうか、完全にそう見えると思う」
玲奈:「そっか……。なんか、うれしいな。
本当は、もっと堂々と手をつなぎたいのに……って思ってたから」
悠人は少しだけ顔を赤らめて、彼女の言葉に応えるように、
買い物袋を片手にそっと肩が触れるほど近づいた。
玲奈:「……好き」
悠人:「俺も」
――それだけの会話が、今のふたりにとって何よりも特別だった。
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■Scene 4:帰り道と未来の想像
買い物を終えて駅まで歩く途中、玲奈がぽつりと呟いた。
玲奈:「もし、結婚したら……こうやって毎週末、一緒にスーパー行ったりできるのかな」
悠人:「行こうよ、毎週。重い荷物は俺が持つし。玲奈は買う係」
玲奈:「じゃあ、あなたは運ぶ係ね。あと……キスする係」
悠人:「え、それって買い物中でも?」
玲奈:「ふふ、家に帰ってから、ね」
彼女の笑顔がやけに大人びて見えて、悠人は言葉を詰まらせた。
けれど――
そんな未来がきっと来るって、信じられた。
玲奈:「……3年目に、ちゃんと迎えに来てね」
悠人:「うん。絶対に」
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