第9話「彼が作った、新しい物語」
物語を書くということは、自分をさらけ出すということ。
だからこそ、彼は大切なものを込めた。
“誰にも言えなかった愛”を、フィクションという形で。
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■Scene 1:深夜の書斎にて
双子が眠った夜――
リビングの奥の書斎で、悠人はノートパソコンに向かっていた。
文字が並ぶ画面の隅に、そっと書かれたタイトルが映る。
『Secret Family - 誰にも言えなかった、私たちの10年』
玲奈:「また、何か書いてるの?」
悠人:「……うん。次の映画のプロット。
家族のこと、“秘密の夫婦と双子の子ども”を軸にした脚本。
……当然、フィクションとしてだけど」
玲奈:「……それって」
悠人:「僕らの物語。
言葉にしたいのに、できなかった全部を、映像にするために書いてる」
玲奈はそっと椅子の背後に回り、悠人の肩に手を置いた。
玲奈:「ありがとう……そんなふうに、“私たち”を物語にしてくれて」
悠人:「大丈夫。誰にもバレないように、でもちゃんと“伝わる”ように描く。
きっと、観た人の心に届くと思う」
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■Scene 2:プロデューサーとの打ち合わせ
数日後。
都内某所の制作会社で、脚本打ち合わせが行われていた。
プロデューサー:「……すごいな、このテーマ。
“秘密の夫婦生活”と“家族の成長”を同時に描くとか、普通の若手じゃ書けないよ」
悠人:「ありがとうございます。実際に見てきたものが多いので」
プロデューサー:「あ、でもこれ……ヒロインの雰囲気、玲奈さんに似てない?」
悠人:(ドキッとしつつも)
「それは……偶然です。憧れの人の影響、ですかね」
プロデューサー:「いい影響だね。
ちなみにこの家族の“秘密”が明かされる場面、涙腺にきそうだわ。
主演候補、そろそろ考えなきゃね」
悠人:「(心の中で)……もう決まってます。僕の中では、ずっと」
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■Scene 3:玲奈へのオファー
その夜、自宅の寝室。
玲奈は子どもたちの寝かしつけを終え、ソファに座っていた。
悠人が隣に座り、脚本のコピーをそっと差し出す。
悠人:「読んでほしい。……主演、お願いしたい」
玲奈:「……本気でいいの? “私”が“私たち”を演じることになるけど」
悠人:「君にしかできない。……本当の感情を知ってる人じゃなきゃ、無理だから」
玲奈は一言だけ、静かに答えた。
玲奈:「……はい、監督。心を込めて演じます」
そして、脚本の一行を読んだ。
『ママがね、いつも言ってた。
“大好き”って気持ちは、誰にも渡せないものなんだって。』
玲奈の目に、涙が浮かぶ。
玲奈:「このセリフ……ずるいよ。こんなの……泣くに決まってる」
悠人:「じゃあ、泣かせて。カメラの前で。君の涙で、観客を動かして」
玲奈:「……んっ、もう……」
ふたりは顔を寄せて、静かに――でも深く、
言葉の代わりに、ひとつのキスを交わした。
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