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第5話「家族で行く、小さな旅行」




スケジュールに追われる日々の中で、ほんの少しだけ、家族だけの時間を。

静かな温泉街で過ごした一日が、ふたりに新しい絆をくれた。



■Scene 1:逃げるように、癒やしへ


玲奈の映画の撮影が終わり、悠人の編集作業も一段落した週末。

ふたりは子供たちとともに、人目の少ない地方の温泉地へと向かった。


玲奈:「ほんとに久しぶりの旅行……」


悠人:「芸能ニュースもSNSも見ない。今回は完全オフね」


玲奈:「ママ業も女優業も一時停止。……“お嫁さん”でいさせて?」


悠人:「……こっちも“ただの夫”でいるから」


車内のチャイルドシートで寝る光と心の寝顔を見て、ふたりはそっと微笑んだ。



■Scene 2:小さな宿と、家族だけの湯船


予約していた宿は、山間の静かな旅館。


貸し切りの露天風呂、川のせせらぎ、誰にも邪魔されない空間――

玲奈と悠人は、夜になって交代で子供たちを寝かしつけたあと、そっと湯船に並んで入った。


玲奈:「ねえ、また来ようね。こういうとこ」


悠人:「次は、光と心も一緒に温泉に入れるようになった頃かな」


玲奈:「その頃、私たちどうなってるんだろうね」


悠人:「たぶん、今よりもっと仲良し」


玲奈:「……キザだけど、好き」


ふたりは湯気の中で手を取り合い、静かにキスを交わした。



■Scene 3:旅先の予期せぬ再会


翌日、観光地を歩いていたとき――

玲奈が少し目を離した瞬間、声をかけられた。


男性:「……あれ? あの、玲奈さん……ですよね?」


玲奈:「――!」


サングラスとマスク越しでも、彼は気づいた。

数年前、共演歴のある若手俳優の一人だった。


玲奈:「……偶然ですね。今はちょっと、家族旅行中で……」


男性:「まさかお子さん……? てか、ご結婚されてたんですか?」


玲奈:「すみません、今はそういう話、表には出してなくて……」


悠人はすぐに間に入り、軽く会釈する。


悠人:「お世話になってます。玲奈のマネージャーです、今日はこれで――」


玲奈:「ありがとう……」


男性は一礼しながらも、少し驚いた表情でその場を後にした。



■Scene 4:夜、布団の中で


旅館の寝室。

子供たちが眠る隣で、玲奈は布団の中でぽつりとつぶやいた。


玲奈:「やっぱり……隠すの、ちょっと苦しいね」


悠人:「でも、いまはこの形がいちばん平和なんだと思う。

守りたい人が増えたから、俺も嘘をつくのが上手くなった」


玲奈:「……ずるくなったね、悠人」


悠人:「でも、“家族のために”だから。……ね?」


玲奈:「……うん。ありがとう。ねぇ、ぎゅってして」


悠人は玲奈の肩を抱き、互いの額を寄せた。


玲奈:「やっぱり、あなたがいてくれてよかった」



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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