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第2話「名前の由来と、手紙の記憶」




初めての贈り物は「名前」だった。

そのひとつひとつに、ふたりの出会いと想いが宿っている。



■Scene 1:まだ決まらない“ふたつの名前”


昼下がりのリビング。

玲奈と悠人は、ノートにびっしりと書かれた候補の名前を眺めながら、頭を抱えていた。


悠人:「うーん……これで何十通目?」


玲奈:「50は超えたね……」


悠人:「男の子と女の子、どっちも意味を込めたいし……」


玲奈:「響きも大事だし、将来呼ばれて恥ずかしくない名前にしたいし……」


隣では、双子がすやすやと昼寝中。

その寝顔を見て、ふたりはふと微笑み合った。


玲奈:「でも……どんな名前でも、この子たちなら素敵に育ってくれる気がする」


悠人:「うん。でも、せっかくだから“私たちらしい”名前を贈りたいな」



■Scene 2:引き出しの奥にあった、あの手紙


玲奈がふと思い出したように席を立ち、寝室の引き出しを開けた。


取り出したのは、透明なファイルに大切にしまわれていた――

高校時代、悠人が玲奈に宛てた、あのファンレター。


玲奈:「ねえ……覚えてる? この手紙」


悠人:「えっ……まだ持ってたの?」


玲奈:「当たり前でしょ。私、あの時初めて、誰かの言葉で泣いたの」


ふたりでソファに座り、その手紙をそっと開く。


『僕は、あなたの演技に救われました。

何度も諦めかけた夢も、あなたの笑顔でまた進めた。

“光”のような人です。

そして、あなたには“心”がある。

だから、いつかお会いできたら、

ちゃんと伝えたかったんです。――ありがとう。』


玲奈:「……“光”と“心”か……」


悠人:「あ……」


ふたりは自然に顔を見合わせた。


悠人:「……決まり、かも」


玲奈:「うん――“光”と“心”」



■Scene 3:名前の贈り物


数日後、出生届を提出したふたり。


男の子の名前は【神谷 こう

女の子の名前は【神谷 こころ


役所の窓口で書類を渡す瞬間――

玲奈はそっと手を重ねる。


玲奈:「“神谷”って苗字、やっと堂々と書けた」


悠人:「……それ、ちょっと照れる」


玲奈:「ふふ。でもね、この子たちは、堂々と生きていくよ。きっと」


悠人:「だって……あなたの子だもんね」


玲奈:「そして――あなたの、初めてのファンレターから生まれた名前」


ふたりの中に生まれた“最初の言葉”が、

いま、子どもたちの“最初の贈り物”として生きていた。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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