第6話「舞台挨拶と、交差する視線」
観客の拍手、フラッシュの嵐。
スポットライトの下、玲奈は“主演女優”として舞台に立つ。
その後方――悠人が見守る“監督”としての視線。
決して交わらないはずの立場。けれど、
ふたりの視線は誰にも気づかれない“約束”を交わしていた。
⸻
■Scene 1:完成披露試写会の会場にて
都内某所の映画館。
悠人の監督デビュー作――
玲奈主演の『月の声が聞こえる夜に』がついに公開を迎える。
舞台挨拶には、悠人・玲奈・共演者の俳優たち、
そして大勢のマスコミと観客が集まった。
悠人は、登壇直前の舞台袖で玲奈と手を取る。
悠人(小声):「今日は、“監督と主演女優”としてよろしくお願いします」
玲奈(微笑み):「了解、監督。……でも、後ろで手、握ってていい?」
ふたりは観客に気づかれないように、
舞台の裏でそっと手をがっちり握り合った。
⸻
■Scene 2:舞台上での“約束”
舞台上でのトークが進む中、共演俳優のひとり――
若手注目株・**三宅沙彩**が、ふと玲奈に視線を向ける。
沙彩:「あの……綾川さんにお聞きしたいんですけど。
この映画の中で“誰かを守りたい”って台詞があって。
あれ、すごくリアルで……演じながら、誰かを想ってたのかなって、感じました」
玲奈は一瞬目を伏せた後、カメラに向けて微笑んだ。
玲奈:「……その答えは、映画の中にあります。
私が守りたいと思った“誰か”は、脚本の中で生きてるから」
後方でその言葉を聞いていた悠人は、うっすらと頷いた。
ふたりだけが知る、“真実の答え”。
⸻
■Scene 3:秘密の共有者
舞台挨拶が終わり、控室に戻った玲奈のもとへ、沙彩がそっと近づく。
沙彩:「玲奈さん。もしかして……監督と、特別な関係ですよね?」
玲奈は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに整える。
沙彩:「私、気づいちゃいました。
舞台袖で、手を握ってたの、ちょっとだけ見えちゃってて」
玲奈:「……あなた、鋭いのね」
沙彩は笑いながら、小指を立てた。
沙彩:「このこと、誰にも言いません。
だって私にも“秘密にしてる恋”があるんです」
玲奈:「誰……?」
沙彩:「うふふ、それは――玲奈さんも知ってる人」
そう言って沙彩は立ち去った。
玲奈は驚きながらも、少しだけ安心した顔をした。
⸻
■Scene 4:エレベーターでのふたり
帰りのエレベーター。
ふたりきりになると、悠人が玲奈の手をそっと握る。
悠人:「ばれてた?」
玲奈:「ちょっとだけ。沙彩ちゃん、気づいてた。
でも、口止めはしておいたから」
エレベーターの天井には監視カメラ。
ふたりは言葉を交わさず、ただ肩を寄せ合い――
見つめ合ったまま、そっと唇を重ねる。
誰にも気づかれないように。
でも、心の奥で叫ぶようなキスだった。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——
ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!
その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。
読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。
「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!
皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。




