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第3話「すれ違う想いと、スクリーンの中のキス」


演技と現実の境界が、曖昧になっていく。

共演者の気持ち、監督としての使命、そして“本当の妻”としての心――

複雑に交差する視線の先で、静かに揺れるキスの意味。



■Scene 1:脚本の“キスシーン”に戸惑う玲奈


撮影スケジュールの進行に伴い、物語のクライマックス――

玲奈ヒロインと共演俳優(花音演じる主人公の恋人)のキスシーンが迫っていた。


リハーサル前、玲奈は台本を見つめながら、静かに呟く。


「……これ、本当にやるんだね。

あの子の目の前で」


悠人は隣で視線を落としながら答える。


「女優・綾川玲奈としての演技。

それが、いちばん大事だって信じてる。

でも、無理だけはしないで」


玲奈は一度、悠人の目を見つめ――

やがて小さく頷いた。



■Scene 2:花音の“告白未遂”


撮影の合間、夕暮れの屋外で花音が悠人を呼び止める。


「監督……ちょっと、お時間いいですか?」


いつもより真剣な表情。

ただならぬ空気を感じ取った悠人が振り返る。


花音:「あの……私、最近ずっと感じてて……」


「監督の目が、誰かを見てるようで、でもその“誰か”に何も言えずにいるみたいで……

それがすごく、苦しいんです。私も、何か言いたいことがあるのに……」


そこまで言ったところで、

スタンバイの声がかかり、花音は言葉を飲み込む。


彼女の“本音”はまだ口にされなかった。



■Scene 3:キスシーン、そしてスクリーンの中で


そして、ついに撮影本番。


玲奈は恋人役の共演俳優と向かい合い、

台本通りのセリフを口にする。


「私たち、もう戻れないのかもしれない。

それでも、今だけは……抱きしめて」


静かな空気のなかで、ふたりの顔が近づく。

監督席で悠人が固唾を呑んで見守るなか――

カメラは、**“映画のキス”**を捉えた。



■Scene 4:現実に戻ったあとで


その夜、撮影を終え帰宅した玲奈は、リビングで黙って台本を閉じた。


悠人は気まずそうに何も言えず、

だが玲奈が先に口を開いた。


「……ごめんね。演技ってわかってるけど、

あの子が見てたと思うと、少しだけ心がざわついた」


悠人:「俺のほうこそ、何もできなくて……」


沈黙。


やがて玲奈は、ふっと微笑む。


「でもね、悠人。

本当に“キス”してるのは、カメラの前じゃないから。

私が心からキスしたいと思うのは、

あなただけだから」


悠人は立ち上がり、玲奈の隣に座って、

そっと唇を重ねた。


「ありがとう。

俺も……どんな脚本でも、どんな演出でも、

本当に愛してるのは玲奈さんだけだから」


ふたりは、

スクリーンの外でしか交わせない――

本当のキスを、静かに重ねた。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


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読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。


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