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第5話「帰国の夜、壊れそうなふたり」



ひとつ屋根の下に戻ったのに、なぜか心はまだ遠い。

再会が嬉しいはずなのに、抱きしめるたび、涙が出そうだった。

そんな玲奈に、悠人がかけた言葉は――“戻ってこい”ではなく、“守る”という決意だった。



■Scene 1:再会の夜、静かな夕食


ロサンゼルスでの撮影を終え、玲奈が日本に帰国した日。

久々にふたりは、都内の自宅でテーブルを囲んでいた。


手料理は悠人が作った煮込みハンバーグ。

玲奈のために、彼が仕事帰りに食材を買い込んで作ったものだった。


「美味しい……悠人、料理上手くなったね」


玲奈はそう言いながらも、どこか笑顔が弱かった。

目の下にはうっすらと疲れの影。

手を伸ばせば届く距離なのに、心だけが遠い。


食後、グラスワインを飲みながら、ふたりはソファで寄り添った。


そして――玲奈がぽつりとこぼした。


「ねえ……私たち、このままじゃ……壊れちゃうかも」


悠人の手が止まった。

彼女の震える声に、確かに“限界”が滲んでいた。



■Scene 2:キスと、叫びのような想い


沈黙のあと、悠人は玲奈の顔をゆっくり両手で包み込んで、

そのまま、唇にそっとキスを落とした。


「……壊れたっていい。

そのときは、俺が全部――守るから」


玲奈の目が潤んだまま動けない。


「そんなこと言わないで……玲奈さん、

俺、あなたが“笑ってる玲奈さん”じゃないと……嫌なんだよ」


「……もし、もう無理だと思ったら。

俺、活動休止してもいい。映画もやめてもいい。

だから――元の玲奈に戻ってよ。


俺を見つけてくれた、あのときの玲奈さんに……戻ってよ」


玲奈の唇が震える。


「悠人……そんなこと言わせたくなかった。

でも……ありがとう。

わたし、やっぱり――

あなたの“声”が、いちばん安心するの」


そして、ふたりはもう一度、

今度は深く、長く、涙を混ぜるようなキスを交わした。



■Scene 3:夜、手をつないだまま眠る


その夜、寝室のベッドで。

ふたりは向かい合って眠った。


電気は消えているのに、互いの表情はよく見えた。


玲奈が、小さくつぶやく。


「壊れそうだったの、私じゃなくて――

“ふたり”の関係だったのかも」


悠人は玲奈の手をぎゅっと握り返す。


「じゃあ、これから壊さないようにしよう。

もう、すれ違わないように――一緒にいよう」


玲奈の目から、一粒の涙がこぼれ落ちた。



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